大人の休日倶楽部の旅・鎌先温泉

大人の休日倶楽部の旅、
三日目は陸奥路を一気に南に下って宮城県白石市へ。
白石市郊外の鎌先温泉に向かう。

(雪の大曲駅にて秋田新幹線に乗り換える)

秋田はしんしんと降り積む雪の中だった。
雪は盛岡あたりまで続いたが、
仙台平野に入るとともに消えた。
まるで季節を通り越してきたかのような気がする。
仙台で新幹線を乗り継いで白石蔵王へ。
白石蔵王駅から在来線の白石駅まで歩く。
路面に雪はほとんど残っていないが、風は冷たく、
依然として東北の冬であることを思い知らされる。
鎌先温泉は
駅前からコミュニティバスで20分ほど行ったところにある、
古くからの湯治場である。

(温泉宿以外は喫茶店が一店あるだけのようだった)

五、六軒の宿屋が寄り添うように建っている。
ぼくの今宵の宿は最上屋旅館。

(最上屋旅館は「日本秘湯を守る会」の会員でもある)

年季の入った古い木造の建物である。
こういうのをみるとぼくは嬉しくなる。
かみさんは逆に怒り出すだろうから、
温泉めぐりは一人に限る。

(古い建物だが、それほど傷んでもいないようだ)

本館の建物はずいぶん古いと思うが、
掃除が行き届いているのか、不潔感はない。
トイレと洗面所はリニューアルしてある。
古い木造建設を活かしながら、
きれいで清潔な洗面所とシャワートイレ。
こういうパターンがぼくにとってはひとつの理想だ。

(内外製薬のケロリンの洗面器はどこにでもあるような気がw)

風呂はナトリウムー塩化物・硫酸塩泉。
泉温が36.2℃と低いので加温しているが、源泉かけ流しだという。
〝源泉かけ流し原理主義者〟であるぼくは、
従来、加温が必要な「鉱泉」を低くみていたところがある。
なんだ、その根性のないお湯は…ってなものである。
しかし、最近、少し考え方が変わってきた。
温泉成分が希釈されないだけ
加水よりいいかもしれないと思い始めた。
最上屋旅館の風呂は少しぬるめで、
ゆっくりと湯槽に使っているとじんわり体の底から温まってくる。
心身ともにリラックスできて、
いつまでも入っていたくなるそんなお湯だ。

食事は特に書くこともない。
温泉料理と家庭料理のあいだぐらいの平凡なもの。
(鮪や海老などの刺身は出てこなかった。)
最初から湯治宿に毛が生えたぐらいのところだと思っているから、
失礼ながら多くを期待していない。
部屋まで運んでくれるので、落ち着いて食べられるのがいい。
ビールを飲み、地酒「蔵王」の純米を2合。
肴が少し物足りないので、
漬物の盛り合わせ(500円)を追加注文した。
ゆったりとリラックスして、
525サイズの古いTVでサッカー、アジアカップの準決勝を観た。

宿泊料についてちょっとふれておくと、
今回の旅で泊まった3つの宿は
いずれも酒代込みで一泊12000〜13000円台。
なかで小安峡温泉の多郎兵衛旅館は明らかにワンランク上の宿で、
冬季限定30%割引セールで同じぐらいの値段になった。
つまりコスパでいうと、
多郎兵衛旅館>岩倉温泉>最上屋旅館という順になる。
ところがぼくの満足度からいえば、
岩倉温泉>最上屋旅館>多郎兵衛旅館となる。
多郎兵衛旅館には申し訳ないような気もする。

(窓から見える景色も妙に懐かしく、落ち着ける)

深夜に雪が降り始めたらしく、翌朝は雪が積もっていた。
平日のみ運行のコミュニティバスで白石の街に下りて、
しばらく散歩。

(昨夜飲んだ「蔵王」の酒蔵の横の堀に鴨がいた)

街のあちこちに
「片倉小十郎」というローカルヒーローの名前が目立つ。
伊達政宗の腹心だった武士で白石城の大改修を行ない、
城下町としての基礎を築いた人物らしい。
小十郎のゆるキャラもあるようだが、
これはいくらなんでも無理だろうと思った。

(白石城…内部を見学する気にまではならなかった)

ぼくは城マニアではないが、
城下町散策のお約束で白石城に行ってみた。
何の変哲もない城で、
若い中国人女性の二人連れが城をバックに自撮りしていた。
駅前で白石名物のうーめんで昼食。
実はうーめん(乾麺)は釧路でも売っていて、
ぼくはしばしば昼食で食べる。
冬はうどんより温麺にしたうーめんの方がいい。

(ワカメ入りうーめん大盛り・864円)

ちょうどお昼時だったが、
客はぼくと(さっきとは別の)若い中国人女性の四人組だけ。
失礼ながらこんなマイナーな観光地…
観光地といえるかどうかも怪しいところにまで、
中国人観光客が訪れていることに驚く。
彼ら彼女らの旅をとことん愉しんでやろうという貪欲さ、
いろいろ下調べをしてくる熱心さにはとても敵わないと思う。





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