湖の秋・2

野中温泉でブログ「湖の秋」を書いた翌日(26日)、
ぼくはもう一度オンネトーに向かった。
雌阿寒の4合目まで登ろうかとも思ったが、
五十肩に悩む六十代としては(膝痛もあるし)、
ジーパン姿で山登りをするほどの勇気はなかった。


結果的にはそれが正解で、
午前中のオンネトーは雲ひとつなく、
期待通り昨日とはまた違った表情を見せてくれたのである。


風景写真は光と雲との一期一会だと思うが、
オンネトーの場合は「風」も大きな役割を担っている。
風が生み出すさざ波が
湖面に微妙な表情の変化をもたらすのである。
風がぴたりと止むときには、
雌阿寒岳と阿寒富士、
二つの山の姿をまるで鏡のように映し出すこともある。


光と雲と風が織りなすシンフォニー。
オンネトーは毎日違う表情を見せてくれる。
だから、毎日でも通いたくなる。
帰りもまたタクシーに迎えに来てもらったが、
オンネトーを撮るためだけにでも、運転免許を取りたくなった。


阿寒湖畔に戻って40分ほど歩いて「滝口」までいく。
(なんやかやでこの日は1万8千歩余り歩いたことになる。)
滝口は阿寒湖から阿寒川が流れ出すところで、
阿寒湖畔ではここが一番美しいように思う。
特に紅葉の季節は素晴らしい。


今回、釧路から阿寒湖畔までバスのフリーパスを使ってきた。
阿寒摩周国立公園内のバス路線を4日間乗り放題で4000円、
釧路〜阿寒湖畔のバス代が往復で4800円だから、
これは断然お得である。
せっかく4日間使えるのを2日で帰るのも悔しいから、
予定を変更してもう一泊阿寒湖畔に宿泊。
きょうはこのフリーパスを使って摩周湖まで往復した。


実は摩周を撮ったのはついでの話で、
(あまり撮りようのない湖なので面白くない)
途中、阿寒から弟子屈へと抜ける
阿寒横断道路からの風景を見たかったのである。
これが想像以上の素晴らしさで、
色づいた原生林の雄大な美しさには息を飲む思いだった。
(移動中は寝ている観光客もいて、もったいない話である。)
雄阿寒、雌阿寒が一望できる双岳台、
ペンケ、パンケの二つの湖が見える双湖台のポイントもあり、
これは是非とももう一度来なければならないなと思った。
バスは阿寒湖畔〜弟子屈をノンストップで走るので、
こうしたポイントまではやはりタクシーを使うしかない。
降りてくるのは2〜3時間かけて歩いてもいいが、
登るのは如何にもつらい。
歩道がなく(誰もこんなところを歩こうとは思わないだろうし)、
横を車がびゅんびゅん走るので危険でもある。
金欠病の身には贅沢な話だが、見てしまうともう我慢ができない。
明日は天気が崩れる方向で、
手持ちの金も心許なくなってきたので、
再訪を期して夕方のバスで釧路に帰った。









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