森友学園問題の深い闇

ぼくはいま怒り狂っている。
森友学園事件(敢えて「事件」という)についてである。安倍首相の政治家としての資質(あるいは資質の欠如)に関わる問題で、もう少しまともな世の中であれば内閣が吹っ飛ぶような話である。…といっても、「事件」そのものがピンと来ない方もいらっしゃるだろう。
テレビや新聞が問題の全貌を伝えないからで、大手マスコミの権力に対する腰砕けがまた腹立たしい。いまのところネットメディアのLITERAが事件の全貌を一番きちんと伝えているようだ。

森友学園事件については互いに重なりあう二つの側面があり、その重なりあう部分の要に「安倍晋三」という存在がある。

問題のひとつは学校法人・森友学園が新設する小学校の用地として国有地が相場の9割引きという破格値で払い下げられたこと。この小学校は3年前、「安倍晋三記念小学校」の名で寄付金集めを行なっており、名誉校長には安倍昭恵・首相夫人が就任している。この学校法人の経営者は、安倍政権に大きな影響力を持つとされる宗教右翼団体・日本会議の有力メンバーである。この“お手盛り感”は明治の北海道官有地払い下げ事件を想起させずにはおかない。
安倍首相は国会で森友学園に便宜を図るよう働きかけたことはないと答弁した。それはその通りだろうと思う。しかし、一時は「安倍晋三記念小学校」を名乗り、その夫人が名誉校長に就任しているとなれば、この小学校が安倍首相と極めて近い関係にあることは誰の目にも明らかである。特段の便宜を図るよう首相自ら働きかけるまでもなく、(例えば)官僚がその意を体して動くことは当然に想定される。ゆえに有力政治家、とりわけ首相ともなれば、憶測を生まないよう慎重な行動が求められるはずだが、安倍氏の辞書に「李下に冠を正さず」という言葉はないらしい。

こうした自ら手を汚さず相手の忖度を期待するやり口は安倍氏の常套手段で、慰安婦問題を扱ったNHKの「ETV2001」が自民党の圧力で放送直前に内容が改変されたときも、安倍氏は「公正中立にやってください」としか言っていない。安倍氏と面談した当時の松尾武・NHK放送総局長は朝日新聞の取材に対して「(真意を)勘ぐれ」という意味に受け取ったと話している。(松尾氏はその後証言を撤回したが、録音テープが残っていた。)

もうひとつは、森友学園の「教育」そのものが抱える問題である。この学校法人が経営する塚本幼稚園は、園児に教育勅語を朗読させることで知られている。復古調というより「極右」の学校法人だが、問題はそれだけに留まらない。この学校法人の幹部(理事長やその妻)が保護者に対して「よこしまな考えを持つ韓国人や支那人」などと記した文書を再三にわたって配布していたことが明るみに出たのである。わざわざ「支那人」などという表現を使っているところを見ても、これはあからさまな「ヘイト」=差別・排外主義であり、それ以外の何物でもない。
未確認だが、こうした「教育方針」の下、苛められて退園に至った在日韓国人園児がいるとの情報もある。それが事実であったところで何の不思議もないだろう。例えていうならドイツでネオナチが学校を開設し、反ユダヤ教育を行なっているというに等しい話であって、もちろん彼の国では到底許される話ではない。

こうしたヘイト体質の団体がなぜ学校法人として認可されているかというのも疑問だが、それを首相が国会答弁において「(昭恵夫人によれば)教育に対する熱意は素晴らしい」などと言ってしまうところに現代日本の深い病巣がある。

第二次安倍内閣の成立以来の悪政・失政は枚挙にいとまもないが、これほど腹が立つ話もない。多くの先人たちの血と引き換えに獲得した民主主義や反差別という価値観がないがしろにされ、そして、その動きを首相を先頭に政府が後押しするという倒錯がまかり通っているのがいまの日本だ。そして、その安倍政権がいまなお国民の高い支持率を誇っているという異常事態である。
こんなことでいいのか、日本。国際的な常識からみても、この後進性は「国辱」ではないのか。

コメント

  1. 日本人なら義務教育の段階で全員知っている「国民主権」の概念を無視した
    「愛国心()」を主張する奴らは日本で義務教育を受けてないか、
    母国が国民主権国家じゃないのかもしれない。

    しかもあいつらはネット活動や政治運動や宗教活動を通して自分から
    「我々は国民主権の概念を理解しない・無視している・受け入れない!!」
    って日本の主権者達に向かって大声でアピールしまくってる自覚無いんだろうなw

    http://echo.2ch.net/test/read.cgi/seiji/1487928066/

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