2014年12月31日水曜日

「年越し寿司」と「年越し蕎麦」

もうじき新年。
何年ぶりか、釧路の自宅で迎える新しい年だ。
今年は仕事の区切りが早くついたので、
安いチケットが手に入る24日に釧路に来た。
26日には妻も合流して、
久しぶりに二人でのんびりとした時間を過ごしている。
今年の冬はしばれが厳しいようで、
25日に幣舞橋を渡ると川面はびっしり蓮の葉氷に覆われていた。


ぼくは晩秋から厳冬期にかけての釧路が好きだ。
夕暮れどきの美しい街だと思っているが、
この季節は空気に透明感があって鮮烈さもひとしおだ。
陽が傾いてくると、
寒いなかカメラを携えて散歩に出るのが釧路での日課だ。


何年前になるだろうか、
夕張を年越しで取材しているときに、
行きつけていた寿司屋の主から「年越し寿司」の話を聞いた。
ほとんどの家庭が大晦日の夜に寿司の出前を取る、
だから寿司屋は大晦日が一年で一番忙しいというのである。
「年越し蕎麦」なら幼い頃から馴染みがあるが、
「年越し寿司」などというのはついぞ聞いたことがない。
夕張だけの“奇習”かと思っていたのだが、
釧路に戻ったおりに近所の「千歳寿司」の主に聞くと、
大晦日に寿司の出前を取るのは釧路も同じで、
北海道は何処に行ってもそういう習慣ではないかという。
前後17年間も北海道で暮らしていながら、
恥ずかしながら全くの初耳だった。
独身だったので家庭的なことには縁がなかったからだろう。
…そんなわけで、
我が家も今年は「年越し寿司」を出前してもらうことにした。
寿司好きの妻の希望もあるが、ま、話の種である。


なるほど、大晦日の夜を出前ですませてしまえば家事が楽だ。
楽すぎて、なんだか拍子抜けがするくらいだ。
もっとも、寿司屋が忙しすぎて、
握ってから出前まで時間がたっているせいだろう、
いつもと同じ寿司屋だが、いつもほどには旨くない。
大晦日にはネタの鮮度が落ちていることもあるのだろう。
やっぱり、
「年越し蕎麦」も食べねば一年の締め括りがつかない気がする。
幸い、釧路には美味しい蕎麦屋がある。
我が家のすぐ近所にも「竹老園」という有名店があるが、
ぼくら夫婦は「玉川庵」という店の蕎麦が好きだ。
「玉川庵」は牡蠣そばが有名で確かに絶品なのだが、
色の濃い太打ち、
いわゆる「田舎そば」の麺はもりで食べても滅法旨い。
「玉川庵」のある鳥取大通5丁目までは歩けば1時間半かかる。
バスを乗り継いで行くにも、便が少ないので不便である。
それでも、
この蕎麦を食べなければ新年は迎えられないと思って、
年越し用の生蕎麦を買ってあった。
つゆはペットボトルに入ったものをつけてくれるので、
茹でて、薬味にネギを切り、大根おろしを用意するだけである。
思えば「年越し寿司」も、「年越し蕎麦」も、
大晦日は家事をサボりたい無精から始まった風習かもしれない。
我が家の結論は…「年越しはやっぱり蕎麦に限る」。

航空運賃の安い日に移動しようというビンボー旅行だから、
明日の元日には東京に戻る予定だ。

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