八甲田の秋を満喫


八甲田の旅、二日目のきょうは、
八甲田ロープウェーに乗って田茂萢岳に登った。
少し靄ってはいたが、
青森市街から陸奥湾にかけてが一望できた。


天気がよく、暑からず寒からず爽かなので、
山頂付近にある散策路を歩いてみることにする。
看板には「ゴードコース」とある。
「ゴード」とはひょうたんの意味で、
コースの形がひょうたん型のところから来ているらしい。
30分コースと1時間コースがあり、
時間がたっぷりあるので長い方のコースを選択した。


八甲田の峰々、左から赤倉岳、井戸岳、大岳。


紅葉・黄葉が始まっているのに加え、
あちらこちらに高山性の湿原が開けていて美しい光景だ。


これは田茂萢湿原、
いつまでもじっと眺めていたいところである。
天気に恵まれたこともあって、実に清々しい気分。
八甲田にはまた来てみたいと思う。
足ごしらえをしっかり用意してきて、
ここから酸ヶ湯まで
湿原を抜けて歩き下りてみるのも良さそうだ。
(下りならなんとかなるだろうw)

JRバスに乗って今夜の宿、谷地温泉に移動する。
この辺りにも
かつて鉄道(国鉄)が走っていたというのが意外に思える。


谷地温泉は酸ヶ湯に増して古びた木造の建物である。
ぼくが泊まったのは旧館で、いささかならず草臥れている。
それでもトイレはウォシュレットで、
いまやそれが日本標準なのだとつくづく感心をした。


風呂は如何にも湯治場の佇まい。
泉質は最高で酸ヶ湯に勝るとも劣らない。
やはり二種類の源泉が湧いており、
浴槽の直下から湧いているのが「霊泉」(手前)で、
泉温は38℃とひどくぬるい。
もうひとつは「白濁の湯」で(画面奥)、
これは適温、つかっていて大変気持ちがいい湯だ。
説明書きによれば、
最初は「霊泉」に初心者で30分、慣れれば1時間つかり、
続いて「白濁の湯」に5〜10分入るというのだが、
入浴客はみな常連なのだろう、
「霊泉」にゆったり使ったまま動こうとしない。
だから、「霊泉」はやたらに混み合っている。

なかなかいい宿なのだが、
残念でならないのは夕食時の「飲み放題」。
ただ酔えばいいというアル中や若造はともかく、
酒が好きな人間は自分の好きな酒をじっくり飲みたい。
しかし、飲み放題の酒の質がいいわけはない。
例えば、日本酒は「大関」の三増酒。
三増酒とは日本酒を醸造用アルコールで三倍に割って、
それでは辛くなりすぎるので糖類を添加した酒。
はっきりいってしまえばまがい物で、
頼まれたって飲みたくはない酒である。
ぼくは口にする気になれなかったが、
別料金で他の酒を注文しようにも置いていないという。
青森のような地酒の旨いところに来てこれでは、
酒飲みとしては宿の印象が暴落してしまう。
泉質が最高だけに実に残念である。

コメント

  1. 日本酒は「大関」の三増酒との詐称、灘の酒「大関」に失礼に値します。
    三増酒を引用し日本酒を語るのなら、酒税法も勉強された方が良いようです。
    ちなみに「三増酒」とは、戦後の米不足の際に生まれた製造法で、簡単にいえば、純米酒を製造する米の量で3倍に酒の量を増やすことです。
    こうして製造したものに、醸造アルコール、糖類、アミノ酸などを添加することにより味を整えた酒で、お書きの通りまがい物です。

    次に酒税法のお話。
    清酒(日本酒)は酒税を徴収する為に厳しく定義されています。 大まかには次の通り。
     ・副原料は、米、こうじ米の重量を超えてはならない。(1:1以下)
     ・添加アルコールは、清酒の重量を超えてはならない。(1:1以下)
    要するに、「二増酒」までは作れても、「三増酒」は清酒の定義から外れます。

    ところで、醸造用アルコールを加えた清酒(いわゆるアル添酒)をまがい物の酒、とするような近頃の風潮に乗った報道も見かけられます。
    極端に言えば、純米酒でなければ日本酒とは呼ばないなどの。
    時流に乗ったような報道に、いわゆる素人は誤解してしまいます。
    日本酒の味に大きな影響を与えるのは、米の精米割合に水と杜氏の能力。
    大吟醸酒や吟醸酒、本醸造酒と称されているのは、全てアルコールが添加されています。
    頭に純米と付くかどうかだけが、アル添酒との違い。
    大吟醸酒や吟醸酒がラベルに貼ってある酒で、本当においしい酒は腐るほどあります。
    小生は、どちらかというと純米大吟醸酒より、アル添酒である大吟醸酒の方が好みです。 ものによりますが。
    近頃の報道の誤解もあって、純米酒と謳っておれば需要があると、蔵元の努力が薄れてきているようにも思えます。
    ひいては、アル添酒こそ蔵元の能力、努力に左右されます。

    最後に、「二増酒」までは清酒のラベルは貼れるのでしょうが、添加アルコールが同量にもなると、焼酎臭く飲めたものではない。
    ブログ主さんは、これに近い酒が提供されたのだろうと推察致しますが、日本酒は「大関」の三増酒とのレッテル貼り、今でも「三増酒」の日本酒が製造されているとのご認識、非常に残念です。
    純米酒だけが旨い酒ではない。 ましてや純米酒が全て旨い酒とは限りません。
    灘の酒をこよなく愛する、神戸市民より。

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  2. ひげ爺さん。
    ご指摘ありがとうございました。
    やっぱり調べずに書くのはよくありませんね。
    ぼくの記述が間違っていました。
    「三増酒」とは
    醸造用アルコールで3倍に割るのではなく、
    同量のアルコールで割れば、
    アルコール濃度に換算して本来の日本酒が1/3、
    という意味で「三増酒」と呼んだようです。
    もっとも、2006年に酒税法が改正されていて、
    それ以降はご指摘通り「二増酒」になっています。

    いずれにせよ、
    醸造用アルコールの使用を全否定する意図はありません。
    ぼくは本醸造は飲みますし、
    ひげ爺さんもお書きになっている通り、
    大吟醸のなかには、
    ごく少量の醸造用アルコールを添加することで、
    飲み口を綺麗に仕上げている酒があります。
    杜氏のブレンダーとしての能力の冴えなのでしょう。

    ただ、「糖類添加」の酒はやっぱり御免被ります。
    (この日の「大関」は糖類添加酒でした。)
    戦争中の米不足に端を発した苦肉の策、
    日本酒の文化には本来なかった「まがいもの」ですし、
    理屈以前に、
    ぼくの場合はそうした酒を飲むと
    一合かそこらで頭が痛くなるなど酔い心地が悪いのです。
    ですからもう20年以上飲んでいないと思いますが、
    2006年以降は多少は改善されているのかも知れません。

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  3. 「2006年以降は多少は改善されているのかも知れません。」
    酒税法をお読みになっているのだと思い、修正されるのを待っておりましたが、一向に修正なされないので、非常に長くなりますが書いてみます。
    おっしゃる通り、極端な糖類添加は、まさしくまがい物ですね。
    深くたしなむと、酔いざめが悪くなります。
    わかっていても、先立つものも無く、まがい物を日々呑んでいる身ですが・・・
    アルコール添加の日本酒を極端に誤解されている方が多くいますので、ぐびぐび、いやぐだぐだと。
    アル添酒への濡れ衣を晴らさなければ。

    アル添酒を否定的に語る人が私の周りにもたくさんいます。
    どんな米を使っているのか、精米割合がどうか、旨いか不味いかの判断ではなく純米酒なら諸手をあげての方も。
    嘘の多いあの作者の「美味しんぼ」など影響力のあるマンガの聞きかじりで、間違った蘊蓄を語る方も。
    呑んでいる席では、取り敢えず聞き流しています。
    味覚は人それぞれですが、時に、本当に旨い日本酒の歴史を解っていないのだろうなと思う時もあります。
    酒の製成方法が科学的に解明される大昔、一部の名人の杜氏たちが、いわゆる門外不出、一子相伝の代物として一番弟子にしか継がせなかった技術、まさしくそれがアルコール添加。
    当然、配下に働く蔵人はおろか蔵元にも教えなかった技法。
    日本酒造りの伝統からは外れるので、教えなかっただけかも知れませんが・・・

    現在のアル添の目的の第一は、原酒に潜っている香味成分を顕在化することにあります。
    酒の香味成分は、水に溶けにくいがアルコールには非常に溶けやすいのが、その理由です。
    大昔の名人と呼ばれる杜氏は、これを経験的に知っていたのだろう。

    第二の目的は、酸味を抑え、まろやかにすることにあります。
    純米酒の弱点は、酸味が飲酒後に残ることにあります。
    好みもありますが、純米酒に残る弱点を抑え、酒の切れ味を良くするためにアルコールを添加します。

    第三の目的は、二増酒などの安価な酒、いわゆるまがい物の酒ですね。
    アル添の量が多くなると、ぷ~んと焼酎臭さが鼻につきます。
    安物居酒屋チェーン店なんかで広く提供されているものですね。

    最初は、現在のように清潔な醸造設備や細菌学が発達していなかった昔に、腐造を防ぐ一つの手段だった。
    しかし、防腐目的だったのが思わぬ効果があったことに行き着きます。

    ワインの世界でも、葡萄の糖分が足りない時の糖の添加、酸が足りない時の酸味料の添加も認められています。(深く飲むと頭が痛くなりますが)
    フランスなどの地域では、酸化防止剤として二酸化硫黄の添加を義務付けている地域もあります。
    さらにアルコール添加で言うならば、シェリーやマディラ、ポートワインなどのフォーティファイド・ワインも問題になってきます。(酒税法上では甘味果実酒)
    もちろんワインが上等だ、見習えという気はさらさらありません。
    酒造りで言えば、日本酒こそが文句なく世界一だと思っていますので。

    特に新潟のような淡麗辛口の酒を造る産地では、圧倒的に本醸造の製成が多いし、同じ蔵の純米酒と飲みくらべると、本醸造のほうが美味しい場合が多いのです。
    それから香りです。
    現在の全国新酒鑑評会に出品されるお酒のほとんどが、アルコール添加をしている本醸造の大吟醸です。
    これは、新酒のうちでも飲み安いすっきりとした酒に仕上げるためにアル添しているという点もありますが、香りを引き出すためのアル添が主目的です。
    別に、鑑評会が全ての酒の旨い不味いを測れるわけではないですが・・・

    最後に、ブログ主さんに
    「2006年に酒税法が改正されていて、それ以降はご指摘通り「二増酒」になっています。」
    とありますが、お調べいただき感謝申し上げます。
    ただ、最近改正された酒税法でのアル添酒のご意見は、全く見当違いのものとなっております。
    酒税法が2006年に改正された趣旨は、様々な製造方法(第3のビール等)の酒類が増えたことにより、税率等を見直したのが主目的だと改正の歴史を見れば明らかです。
    2006年の改正は、酒類の種類、品目の分類の改正、税率の改正が大部分を占め、酒類の製造方法は全く変わっておりません。
    酒税法で『みなし製造』という規定があります。
    簡単に言うと、酒類に水以外の物品を混和すると、新たに酒類を製造したものとみなす規定です。
    これを原則として、『みなし製造』の適用除外を限定的に認めております。
    いわゆるホームリキュールなども広義の意味で『みなし製造』に該当致します。
    徴税目的なので、様々な制限や、流通目的での緩和が規定されている故です。
    そのうえで、アル添酒ですが、昭和28年に酒税法が施行され、清酒に添加するアルコールの量が制限されています。
    昭和28年当時の酒税法施行令が見つかりませんでしたが、昭和三十七年三月三十一日施行の酒税法施行令では、いわゆる「二増酒」までが清酒と規定されていることから、おそらく昭和28年の酒税法が施行された時期から、「二増酒」までの製造しか認めていなかったと推察されます。
    いずれにしても、昭和三十七年には確実に、、「二増酒」までしか存在せず、「三増酒」は清酒という名では販売できなかった。

    日本酒が、特級、一級、二級などの、いい加減な級別を廃止してから、一時の「特選」「上選」「佳選」を経た結果、特に誤解が大きくなってきたものと推察致します。
    ネットやブログなどでも「美味しんぼ」などを引用したり、勝手な解釈をしたり、酒税法を理解せずいい加減な論評が散見されます。
    「美味しんぼ」の作者は、大昔の資料を引用したのか、「三増酒」を語っていましたね。
    これ全くの大嘘なんですよ。 こう言うのが拡散され、風評被害になる典型です。
    酒類製造者が清酒と謳う限りは、酒税法の網は必ず掛かります、いや掛けます。
    無免許で製造する「三増酒」などは、この限りではありませんので、悪しからず。

    一方、純米酒においては級別制度が廃止されて以降、2003年12月31日まで、「精米歩合が70%以下のもの」という項目があったが、規制緩和のあおりを受け、この規定は2004年1月1日以降削除され、米だけで造ってあれば純米酒と名乗れるようになった。
    この規制緩和により、普通は用いられなかったような精米割合の低い酒米や米粉を原料とするような純米酒が現れることになる。
    要するに、改正の都度、純米酒のハードルは低くなり、低水準の純米酒が広く供給され、これをありがたがる需要者が増えてきたのが現状です。
    しかし、『特別純米酒』のラベルがあれば、精米割合が60%以下などの制限があるので、この限りではありません。
    精米割合だけが酒の旨さを決めていないことは、論を俟ちませんが・・・
    味覚自体は、個々人の特性ですので、決めつけられませんね。

    私も「糖類添加」の酒については、ブログ主さんに大賛成です。
    日本酒の評価が、何故か外国人より低い日本人がいるのが不思議に思います。
    お口直しに 日本酒に乾盃。

    アル添酒の本質を誤解されたままでは素通りできない、灘の酒をこよなく愛する神戸市民より。

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