2013年8月4日日曜日

陸羽東線・温泉の旅

山形県の赤倉温泉を訪ねた。
JR陸羽東線は温泉列車の趣があって、
川渡温泉、東鳴子温泉、鳴子温泉が連なる。


鳴子温泉駅で乗り換えて、
中山平温泉を抜け、
山形県に入ったところに赤倉温泉はある。
駅から温泉街までは距離があるので、
宿の人に駅まで迎えに来てもらう。

去年の12月、
大腸に癌が見つかって
検査入院から退院した日にこの赤倉温泉を訪れた。
そのときは「湯守の宿  三之亟」という宿だったが、
着いたときには暗くなっていたので温泉街の印象はない。
今回初めて歩いたが、
小国川の両岸に開けたこじんまりした温泉街である。


十軒ほどの宿があるが、
浴衣姿の湯治客とすれ違うこともない、
鄙びた、というより多少寂れた印象の街だ。
同じ山形県最上地方の
肘折温泉をもうちょっと淋しくしたようなところで、
静けさを好むぼくにとっては大変居心地がいい。


今回泊まったのは「いづみ荘」で、
味も素っ気もない、民宿のような建物である。
かなり古いが、掃除は行き届いているので気にならない。
お風呂も素っ気ないもので、
岩風呂や露天のある「三之亟」とはかなりの差がつく。


源泉かけ流しの温泉は、かなり熱い。
泉質はカルシウム-ナトリウム-硫酸塩温泉。
無味無臭無色で温泉っぽさはないが、
湯上がりのさっぱりした気持のいい湯である。
部屋の窓を開け放てば、
爽かな山の涼風が吹き込んできてクーラーは要らない。


この「いづみ荘」の良さは食事が美味しいことで、
食いしん坊のぼくの得点は、
ここで一気に「三之亟」を逆転する。
主は本格的に料理の修業をした人ではないか。
素材が吟味されているのに加え、
ひとつひとつ料理としてきちんと拵えてある。

       
鍋も天麩羅も茶碗蒸しもなく、
いわゆる「温泉料理」とは一線を画しているのがいい。


山の中で海産物を食べるのは主義に反するが、
岩牡蛎やホッキやボタンエビなどの刺身、
いずれも鮮度抜群で美味。


小ぶりな鮎も天然物なのだろう、
苔の香りが鮮烈で文字通りの「香魚」である。
1泊1万円以下の温泉旅館の食事としては、
ぼくの知る限りでほぼベスト。
ビールはスーパードライしか置いていないが、
ドライは嫌いだと言ったらキリンを用意してくれた。
日本酒は出羽桜の本生冷酒で、これは文句なし。
湯も食事もよく、静けさに包まれた環境、
ゆったり時間を過ごす場所としては最高である。

一夜明けた今朝は、
10時41分赤倉温泉発のJRに乗って駅ふたつ、
中山平温泉駅で下車。
しばらく歩いたところにある
「しんとろの湯」に入る(入浴料420円)。


ここはph9.3という強アルカリ性の湯で、
体の表面がぬるぬるになることから
「うなぎの湯」とも呼ばれているようだ。
実に気持のいい湯で、
日曜の午前中だというのに
すでに大勢の入浴客で賑わっている。


夏の盛りの鳴子峡を眺めながら、
昼食をはさんで1時間半ほど歩いて、
今度は東鳴子温泉・高友旅館の黒湯に入浴。
入浴料は500円である。
以前も書いたが、
独特の油臭さがある湯で、
湯船につかると柔らかく体を包んでくれるようだ。
夏の陽射しのなかを歩いてきた疲れが
お湯に溶け出していくようで体の芯から癒される。

陸羽東線沿いには本当にいい温泉がたくさんある。
温泉ではないが素晴らしい宿、
酒田市の「若葉旅館」からスタートして、
肘折温泉「ゑびす屋」、
赤倉温泉の「いづみ荘」、
鳴子温泉郷は「旅館大沼」か「東多賀の湯」…
1泊1万円以下で泊まれて
食事の美味しい宿を泊まり歩く旅をしてみたい。
仙台にいるあと一年のあいだに何とか実現したい、
ぼくのささやかな夢である。









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