見舞客現わる

東京に仕事を抱える妻は、昨夜、帰った。
いつもなら、
これで俺は自由だ!と快哉を叫ぶところだが、
入院中ではいくら自由になってもやることがない。
まさか飲みに出るわけにもいかないし…。

妻とすれ違うように、
昨日から見舞いに来てくれる人たちが現われ始めた。
最初は仕事で知りあった某一部上場企業の少壮役員氏。
twitterでぼくの入院を知り、
仙台出張のついでに顔を出してくれたという。
中小企業の再生をテーマにした番組を作ったとき、
取材に協力してくれた(出演もしている)人なのだが、
ひょんなことから
二人とも妻が上海出身であることが判明、
以来、仕事を離れても親しくさせていただいている。
なにせ「世界最強」の異名をとる上海女の亭主だから、
お互い人に言えぬ苦労(?)もあり、
いわば傷を舐めあう戦友のような関係である。
ぼくより一回り以上若く、
快活な人物なので、話していて愉しい。
手土産に最中とどら焼きを持ってきてくれたが、
これは当然、東京に帰るかみさんの仙台土産に化けた。

続いて現われたのは、福島に住む姪っ子。
6月に地元の男性(会社の同僚)と結婚したばかりだ。
披露宴は年末なので、
ぼくは出席できるかどうか微妙である。
亭主の顔見世も兼ねて夫婦で来てくれた。
初めて会う亭主君は如何にも福島の山出しで、
中国生まれのかみさんが呆れるくらいに訛っている。
(実家は本宮だそうだ。)
地元の消防団の活動にも懸命に取り組む飾らない人物で、
姪はなかなかいい男をみつけたものだと思う。
訛りといえば、
姪は大学入学以来もう10年近く東北にいるのに、
いまでも「どぎつい広島弁」丸出しで喋っている。
福島弁と広島弁でも
どうやら意思疎通に困ることはないらしい。
福島名産の「ゆべし」を持ってきてくれたが、
これもかみさんの土産に化けたのはいうまでもない。

今日になって
前日来てくれた少壮役員氏の上司、
つまり某一部上場企業の社長が来てくださったので驚く。
役員氏からぼくが仙台で入院していると聞き、
折しも当地で講演会があったので寄ったという話だ。
実はぼくにとっては社長の方が古いつきあいで、
やはり取材が縁で知りあい、
この人の情報を出発点に番組を3〜4本作っている。
貴重な情報源であり、
そう言うことを許していただければ「友人」でもある。
ぼくと同じAB型であり、
ぼくが(B型の妻と)結婚するときに、
「それはえらい早まったことされましたなァ、
 AB型はB型に一生支配されるんが宿命ですよ」と
夢も希望もないことを教えてくれたのはこの人である。

社長はぼくの顔を見て、
「入院して若くなったんとちゃいますか?」という。
血色がいいし(それは誰もに言われる)、
顔が少し痩せたので精悍な印象になったという。
要するに、酒の飲み過ぎによるむくみが取れたのかな?
そう考えれば、健康のために入院生活も悪くない。

夜になって現われたのは職場の後輩。
ぼくの好みを知り抜いている彼は
手土産に地酒の五号瓶をぶら下げてきて、
看護師さんに呆れられていた。


ぼくも念のために一応、
「やっぱり飲んだらダメですよね?」と訊いてみたが、
「我慢して下さい」という実につれない返事だった。
病室に飾った美里町の「黄金澤 山廃純米吟醸」、
闘病生活の励みになるか、
それともつい誘惑に負けてしまうことになるのか…?


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