ブルーシートのある風景

計画的避難区域に指定されている
福島県川俣町の山木屋地区を撮影した。
ここでは
農林水産省による農地の除染実験が行なわれている。
この実験は飯舘村2ヶ所、山木屋2ヶ所で行われているが、
要するにやっていることは土の剥ぎ取りで、
表土を除去することによって
どれくらい放射線量が下がるかを調べている。
ただ農地だから、
単に土を剥ぎ取っただけではすまず、
新たに耕作をするためには客土が必要になる。
何年もかけて肥やした土を取り去って、
一からまた土作りを始めるのは農家には辛いことだろう。


「除染」をすれば、
必ず放射性物質が濃縮された廃棄物が生じる。
これをどう処分するかが目下最大の問題点である。
福島県の各地で除染を取材しているが、
環境省による直轄除染であれ、
福島市や南相馬市など市町村が行なう除染であれ、
あるいはこうした農水省の除染であれ、
大量の廃棄物が生じることには変わりがない。
(それにしても、なんという縦割り行政だろう…)
取材をしていると、
福島県の各地に
ブルーシートをかけた
放射性廃棄物の山が生まれているのを目の当たりにする。
各住宅の敷地のなかに保管せざるを得ないケースもある。
福島県が無数のブルーシートで覆われてしまう光景を
思わず妄想してしまうほどだ。


山木屋の除染実験で出た廃棄物を入れたトン袋、
1m離れたところで2.15μSv/h、
表面では4.27μSv/hの放射線量が測定されている。
こんなものを自宅の軒先に置かれてはかなわない。
ただし、
除染をしなければ、安心して暮らすことができない。
福島の人たちが
背負わされてしまうことになったジレンマである。

環境省によれば、
双葉郡内に作ることになっている中間処分場は、
面積にして3〜5㎢の大きさになるという。
容積にして東京ドーム23個分になるという話も聞いた。
しかし、取材をしていると、
どこも当初の想定以上の廃棄物が出ているようで、
そんなもので間に合うのか疑問になってしまう。



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