2012年6月9日土曜日

ウディ・アレンの快作「ミッドナイト・イン・パリ」


全く予備知識を持たずに観た。
できるだけ先入観なく映画を観ることを心がけているが、
これほど内容について何も知らないケースも珍しい。
我が家から歩いて2分の映画館「フォーラム仙台」、
劇場の前に貼ってあったポスターで、
ウディ・アレンの新作と知って観る気になったのである。
パリを舞台にした「大人の恋愛劇」かな?
…というくらいの気分だった。

開巻、
パリの風景が
一日の時間につれて変わっていく様が延々と映し出される。
ぼくはパリに思い入れがないので、
「まさか観光映画じゃないだろうな」とちょっと悪い予感。
主人公は婚約者とパリに観光旅行にきた
アメリカ人の売れっ子シナリオライターで、
パリに憧れ、初めての小説を執筆中で、
将来はパリに住みたいと考えていることが判る。
どちらかといえば二枚目なのに、
売れっ子の「業界人」には見えないほどダサくて社交下手。
婚約者の両親と交わすかなり危ない会話(笑)から、
ウディ・アレンは主人公のキャラクターを打ち込んでくる。
テンポもウィットに富んだ洒落っ気もあって快調、
「悪い予感」はこのあたりで跡形もなく消える。
恋人同士の二人のあいだに、
婚約者が学生時代に憧れていたという
ペダンティックな知的スノッブ(大学教授?)が絡んでくる。
かなりヤな奴なのだが、
ロマンチストの主人公に対して現実的で俗っぽい婚約者は、
むしろこの俗物と波長が合い、
主人公は次第に居場所を失っていく。
夢見がちな男と現実的な女が噛みあわないのはパターンだが、
(かなり現実的な設定でもある…w)
疎外された男が深夜のパリで迷子になるところから、
物語はぼくが全く予想しなかった展開を始める。

以降の展開は幸福感に満ちたもので、
映画を見終わったときには
なんとなくパリが好きになってしまった。
どうやらウディ・アレンの繰り出す映像の手品に
手もなく、してやられたということのようである。

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