なんてったってプロペラ機


きょうの釧路はよく晴れた。
意外に思われるかもしれないが、冬の釧路は天気がいい。
そして、よく晴れた日の方が寒い。


おととい札幌から釧路に帰ってきたのだが、
昨日までは妙に暖かく(この時期、気温が+になった)、
路面の根雪が融けて滑りやすくなって不快だった。
釧路の晩秋から冬にかけては空気がびしっと締まって、
低い角度から差す陽光はあくまで鮮烈である。
ぼくが釧路に住みたいと思うようになったのは、
夏の涼しさではなく、
冬の透明感あふれる厳しさゆえである。
冬に暖かいと空気がどんより鈍くなって、
気温は暖かくても気分が冷え込んでしまう。
要するに、寒い土地は寒い方がいい、ということだ。

漸く釧路の冬らしくなってきたところで帰るのは残念だが、
仕事のスケジュールがタイトなのでやむを得ない。
午後の航空便を千歳経由で仙台まで乗り継ぐ。
飛行機はぼくの好きなプロペラ機で、
カナダ製のダッシュ8ーQ400(ボンバルディア)である。


かつては釧路から丘珠空港までプロペラ機が飛んでいて、
最初はYS11だったのが、
花模様の塗装を施したボンバルディアのQ300に替わった。
プロペラ機の如何にも「機械」を思わせる存在感が好きで、
揺れようがなんだろうがおかまいなく、よく乗った。
Q400は一時、車輪が出ないなどの事故が多発したが、
プロペラの回転が目で見えるプロペラ機の方が
なんとなく安心感があるから不思議である。

Q400は機体がスマートで美しい飛行機だが、
そのぶん窮屈な造りで、
頭をぶつけないで収納棚に荷物を納めることは難しい。
ぼくが座った席からは車輪がよく見えて、
離陸する瞬間から
なめらか過ぎないメカニックな動きで
車輪が機体に収まるまでを目で追っていた。
千歳から仙台までも同じダッシュ8ーQ400だった。



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