宮浜温泉「石亭」

82歳になる父親が心臓に持病があってペースメーカーを入れた。
いや、「ペースメーカー」と聞いていたのだが、
正確にいえば異常を感知して電気的なショックを与える
「AED」(のようなもの)を体内に埋め込んだのである。
幸い術後の経過はいいようで(ぴんぴんしていた)、
快気祝いと、ともに11月生まれの母と妻の誕生祝いをかねて、
広島・宮浜温泉の「石亭」に家族で泊まった。

















「石亭」は日本三景・安芸の宮島の対岸にあって、
温泉旅館大賞など様々な賞を総ナメにしてきた宿である。
宮島を借景とした美しい石庭と
瀬戸内の海の幸をふんだんに使った料理には定評がある。
実は高校時代からの友人である上野純一が経営しているので、
何かの機会には家族で利用させていただいている。
(妻を両親に紹介したのもこの「石亭」でだった。)

















親しい友人の実家が経営している宿なので、
学生時代から何度か出入りしていた記憶がある。
(貧乏学生なので、さすがに泊まったことはない。)
その頃すでに格式のある老舗の旅館だったが、
失礼ながらあまり客が多いようには見えず、
なんとなく停滞した、饐えた空気が漂っていたように思う。
東京の大学を出て帰ってきた上野が経営に当たるようになって、
めきめきと業績が上がっていったのではないか。
やがて二つ違いの弟も帰ってきて協力するようになり、
老舗の伝統を守りながらも
若い感覚を活かした温泉宿として全国的な知名度を持つに至った。

社会人になったぼくは
「石亭」を何度か利用させてもらうようになったが、
最初の頃、料理に鮪の刺身が出たのを訝しく思ったことがある。
瀬戸内海で鮪が獲れるはずがない。
友だちの無遠慮で「なんで鮪が出るの?」と訊いたら、
上野は「鮪がないゆうて怒っての人がおってじゃけ」と、
広島弁でぼやいた。
その次に行ったときには、もう鮪は出ず、
瀬戸内の地魚ばかりのメニューになっていた。
少しずつ「うちはこれ」という主張を打ち出せるようになり、
それにつれて宿の個性が研ぎ澄まされ、
「石亭」ならではの魅力も増していったものだと思われる。
訪れるたびに仲居さんの数も増え、
宿全体に心地よい活気が漲ってきているのを実感した。

















純和風だった部屋の作りも、
木の質感を生かした洋風家具や間接照明を採り入れて、
モダンでありながら落ち着きを感じさせるものに変わっていった。

















7年ぶりに訪れた今回は、
部屋に個室露天風呂が設えてあったので驚いた。
これだけの人気旅館になっても現状に胡坐をかかず、
観光の“冬の時代”に常に攻めの経営を心がけているのだろう。
母の脚が悪いのを憶えていて、
食事は洋風のテーブルで用意してくれるなど、
サービスもきめ細やかで遺漏がない。
相変わらず頑張っているなと感心するのと同時に、
経営者は大変だなぁといささか同情してみたりもする。

料理はどれも旨いが、やはり名代の「あなごめし」が絶品。
ぱりっと香ばしく焼けているところと
柔らかくジューシーな身の旨味の程あいが絶妙で堪えられない。
あなごめしは宮島口にある「うえの」でも食べることができるが、
最近では店の前に連日長蛇の列ができているらしい。

コメント

  1. アナゴ・・・ うまいよねぇ・・・
      アナゴ茶漬けが すきやわぁ!

     1枚目の写真は フジのクロームモードだと
      まぁ そんなには 発色しませんが・・・
     昔のフジカラーみたいな 緑が でますねぇ。

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  2. >bm2さん

    アナゴ茶漬けかぁ。
    それもよさそうですねえ…(涎)。
    写真は確かにド派手な発色がしていますね。
    もうちょっと渋くいきたかったのですが、なにしろ天気が超ピーカンで。

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