31日放送のETV特集「失われた3万冊のカルテ」の編集が終わった。
津波で壊滅的な打撃を受けた陸前高田市を舞台に
医療の再生に取り組む県立高田病院のスタッフの努力を記録したものだ。
院長の石木幹人さんも津波で自宅を流され、最愛の夫人を失うなど、
自身が被災者でもある医療者の頭が下がるような奮闘記である。
震災前の時点ですでに高齢化率34%、
つまり市民の三人に一人が65歳以上という陸前高田市。
カルテが流失して患者情報がすべて失われてしまった町で、
被災した高齢者は不安に脅えながらの毎日を送っている。
医療機関や福祉施設が被災して機能不全に追い込まれるなか、
医療や福祉に対するニーズは逆に高まっているという現実が浮かび上がる。
被災地でぼくたちが見たものは、
高齢者を「支える医療」の必要性という普遍的なテーマだった。
ぼくが東京で作る、とりあえずの“遺作”である。
もっともロケは若いディレクターが行い、ぼくは編集室に詰めていた。
明日、北海道時代に旧知の高橋美鈴アナウンサーでナレーションを入れる。
放送は、7月31日夜10時のEテレ、59分のドキュメンタリー番組。
ぜひ、ご覧ください。
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