番組「再建は可能か 社長たちの正念場」…明日夜放送

きょうテロップ(字幕)を入れて番組が完成した。
ぼくは「画面を汚す」のが嫌いなので、テロップは可能な限り少なくする主義である。
民放のヴァラエティのように、タレントの発言を一々大仰なテロップで強調するなどは美意識に反する。
だからいつも字幕入れは短時間で終わるのだが(古風にシンプルな字幕にこだわるからでもある)、
今回はとりわけ枚数が少なく、
特に後半の30分はエンドタイトル以外に一枚もないため、午過ぎには総ての作業が終わった。
考えてみればテロップなど「説明」以外の何ものでもないわけで、であれば最小限にするにしくはない。
だから、今回は気持が良かった。仕事も楽だったし…w


ETV特集
「再建は可能か 社長たちの正念場」
10月17日(日)午後10時 教育テレビ(59分)


題名でも判る通り、去年の「社長たちの決断」の「続編・の・ようなもの」である。
今後、NHKでは、
「社長シリーズ」を「駅前シリーズ」と並ぶ看板番組として育てていく方針だという(…ウソ)。

ぼくはもともと器用なタイプではない。
「職人」だと自負しているが、様々な仕事をどれも華麗にやってのけるというタイプではない。
こつこつとひとつの穴を掘り続けるタイプだ。
(女性に関してはその限りではない、少なくとも願望としては…)
今回のテーマは中小零細企業だが、
2002年のNスペ「東京下町 お金がまわらない」以降、手を変え品を替えて追い続けているテーマである。
(「地域医療」は5年、「アイヌ民族」にいたっては20年以上やっているから、我ながら執念深い。)
つくづく感じるのは、この10年足らずのあいだにも状況は目に見えて悪化していることで、
番組を作り終えて思うのは、この国は一体何処に行くのだろうという、溜め息にも近い思いである。
「右肩上がりの時代」(成長期)は終わり、
これからは否応なく「右肩下がりの時代」(衰退期)になるのだが、
衰退の時代をどうよりよく生きるのか、
日本人にはまだ現実を受け入れる覚悟が固まらず、従って生き抜く知恵もないように思える。
官民(菅民?)をあげて、もう帰ってこない「成長の夢」を追い求めているようにぼくには見える。

番組ではもちろん「演説」はしていない。
方向性を指し示す、などという小賢しいマネをする気は最初からなかった。
ある意味では救いのない現実を、一生懸命生きている人たちへの共感だけを込めて、坦々と描いた。
だから、読後感は苦く、やるせないかもしれない。
番組として「面白い」のか「面白くない」のかは、自分でももうよく判らなくなった。

…でも、見てください。
率直なご感想をお聞かせいただければ幸いです。


コメント

  1. 番組拝見させていただきました。こういう“落ち着いた”演出・編集の番組はやはりいいものですね。子供たちの川遊び姿や爽やかな自然風景に癒されながら、重苦しいテーマについて共に考えさせていただきました。

    今回、登場されている社長さんたちは各々のスタンスで経営難の現状に向き合っていらっしゃいましたが、印象的なのはマルイチフードサービスの若い女性社長です。自然体で希望を持って未来を語られていて、まだ就任間もないというのに頼もしさを感じました。また老舗百貨店の上層階をビジネスホテルに改築され、自身の年金を惜しげもなく会社資金に回されている高齢社長さんも、すごいですね~。「年金がたまってしょうがない」とおしゃっていて、正直たまげました!ご夫婦で倹しく暮らしながら次世代に財を譲られようとされているのであれば、たいそう立派な懐の大きな昔気質の経営者さんなのでしょうね。

    一握りの人を除いて決して他人事ではないデフレスパイラルの厳しい現実に、ただ悲鳴を上げて嘆くばかりではなく、腰を据えて向き合っていきたいものですね。もし番組視聴率が悪くても落ち込まないでください。番組で紹介された会社の売上が上がれば世の中に確実に“貢献”されていますのでw

    P.S.番組中「シンケンザイ」が分からず、あとからググりました。「新建材」のことなのですね。

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  2. いやぁ・・・よかった。率直。
     これって 2010年度版 「新日本紀行」だよね?
     地域の特性を探れば その土地に住む
      人間の個性に 辿り着いてしまう。
     人のおもしろさが 突出している。
     よくも まぁ こんな オモロイものを
    収拾しましたね? 
     (皆さん 極めて クールに発言してるのが 響くよ)
     中小の社長さんの顔というのは・・・
      仕事が モロ、人生観。
     それを 最低限の演出で(失礼)ここまで
     収録できたというのは すごいね。
      全てにおいて タルミ、ムダがない。
     苦言を申すなら 唯一・・・
    「名刺のインサート」のタイミングが
      一番 最初の人だけ 遅いぐらいか?
     あとは もう 私好み。笑。
      全てが スムーズ。
    (落雷の絵も よく撮れましたね?)
      ストーリテラーとなっている・・・
     経営アドバイザーの 位置がうまくいきましたね。
      登場人物であり、進行役。
     ヨネさんの インタビューも よかったなぁ。
    それと より内容を深くさせたのは?
      高齢社長の年金コメント。 さすがやね。
      ヒューマン・ドキュメント だねぇ。。。

     価値がある 作品です!

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  3. >エイコンハウスさん

    いつもありがとうございます。
    衰退期に入ったニッポンの素顔を直視するのは辛いことです。
    出口が見えないだけに、尚更…。
    でも、そのなかで懸命に生きていらっしゃる方々の「貌」を記録するのが、
    自分の「天職」だと思い定めています。
    次回も「生活保護」なので辛そうですが…。
    あの老社長の「年金がたまってしょうがない」は強がりだと思いますよ。
    貯金が貯まっているわけではなく、
    貯まっているのは返してもらえない貸金(帳簿上の債権)が1億ですから…。
    事業として成立していないので、時代への継承は難しいでしょうね。
    残酷な話ですが…。

    >bm2さん

    これまた、いつもありがとうございます(笑)。
    ぼくは別に「オモロイものを収集」しているつもりはないのですが…(爆)。
    繰り返しになりますが、
    ぼくがやろうとしているのはあくまで「人間の記録」です。
    人間の悲喜こもごものドラマの向こう側に時代がかいま見えれば本望です。
    だって、「説明」や「解説」ってツマラナイと思いません?
    ストーリー(テーマ)の「説明」という枠のなかに人間を押し込むのでは、
    つまらないし、一生懸命に生きている人たちに失礼だと思っています。

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  4. 「時代への継承」はもちろん「次代への継承」です。
    失礼しました。

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  5. >あの老社長の「年金がたまってしょうがない」は強がりだと思いますよ。

    あぁ、そうかぁ~貯金の方だとばかり早合点してました。。

    生活保護含め“残酷な話”に向き合うべく目下まんがで準備中です。

    闇金ウシジマくん
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