2010年2月7日日曜日

ETV特集「あるダムの履歴書」今夜放送

いまぼくは、ある種の達成感と虚脱感のなかにいる。
今夜放送される「あるダムの履歴書」は、
以前にも書いたようにぼく自身が20年以上前から撮り続けてきたテーマで、
大袈裟に言えば自分の人生にひとつのピリオドを打ったような気分でいるからだ。
(こういうふうに考えてしまうのが、仕事人間の悲しい性なのだろうが…)

北海道日高地方随一の大河・沙流川の変貌に、
高度経済成長期このかた国策に翻弄されてきた地域社会の現実、
そしてアイヌ民族復権の歴史を重ね合わせた、文字通りの「大河ドキュメンタリー」である。
90分の長編番組であるが、それだけの時間をかけなければ到底語りきれなかった重層的な物語である。

http://toriiyoshiki.p1.bindsite.jp/
http://www.nhk.or.jp/etv21c/index2.html

見るのにいささか体力を要する番組かもしれませんが、ぜひご覧下さい。

24 件のコメント:

  1. 初めまして。メディアアンビシャスのメルマガから、見つけました。
    世界の先住民族の人たちと一緒に映像制作を通じて『声」を伝える「シネミンガ」というNPOを立ち上げまして、具体的には南米のコロンビアで活動を始めています。平取町にも何度か訪れており、是非、この番組を拝見したいのですが、ニューヨーク在住でして、NHKの番組を視聴出来ません。郵送費をお支払いしますので、ビデオを送って頂けませんでしょうか?
    メールアドレス:naomi@cineminga.orgにお返事を頂けると幸甚です。

    返信削除
  2. リアルで見ましたよー。
     墓標は風化してよいというフレーズが ジーンときましたわぁ。 自然の中から生まれ~消えていくというメッセージなんだろうと思いました。
     墓標に お酒を かけているシーンが 楽しそうで・・・チャンポン状態というのが素敵。。。

     ダムのための治水・・・
     年月をかけて 地域を密着して 見せられると 
      問題点が 深くなりますね。 
     賛成者、反対者、その立場、境界・・・
      年月が経過すれば 何が大切なのか?
     浮き彫りに なってくるわけですが・・・
      その年月は ハンパではないし・・・
     100年で壊した森を 300年かけて修復という作業は
      人間の人生からして かなり過酷・・・
     
     しかし まてよ? 300年後の ETV特集で
      今回の映像が 使用されるかも?

      まずは お疲れ様でした。

     彫刻している板に 張り付いている猫も なかなかすごい!?

    返信削除
  3. 脳みそ大好き2010年2月8日 0:53

    よくぞこの映像を、彼らの語りを残してくれたものと、感心しました。貝澤さん父子、萱野さんらアイヌの人々の語る真実に比し、自分たちの利害のみを判断基準として語る現代の和人達の何と滑稽なことか。数多くあるダムのわずか1つとはいえ、20年以上にわたる変遷とアイヌの人々の語りを映した映像が、とどまることのない破壊行為を続ける現代への警鐘として重くのしかかってきました。

    返信削除
  4. 番組拝見しました。アッという間の90分でした。

    重層的な構造から、一ダム問題の提起を超えて、自然と共に生きるアイヌ民族の方々のメッセージが身にしみました。個人的な話になりますが、私自身は儒教的なバックグランドを持っていますので、年に何度かは法事のような儀式に“強制参加”させられます。若い頃は面倒だとばかり思っていましたが、「儀式とは、人が大切なことを忘れないよう、身体に覚えこませるためにあるのではないか」と思うようになってからは、少しずつ甘えた考えも変わりつつあります。畏敬を持って自然と共生する貝澤さんらの思想や生き方に、自然から遠く離れてしまった現代人として決して忘れてはならない大切なことを多く教えていただきました。

    それにしても“履歴書”のタイトルにふさわしく20年以上というロングスパンでの取材記録はすごいですね。こうした地道な取材を断続的にでも続けて来られたToriさんの北海道への?執念を感じます。こうして陽の目を見て、よかったですね(笑)。

    お疲れ様でした。第二弾を期待しています!

    返信削除
  5. >Naomi Mizoguchiさん

    お返事は後刻ご指定のアドレスへ…。

    >bm2さん

    いつもありがとうございます。
    ぼくもそう、風化していく墓標に憧憬にちかい想いを抱いています。
    当時(正老の弔いのとき)、聞いたもうひとつの話は、
    アイヌの人たちは
    弔いの後に雪が降ると故人の足跡を消してくれると喜ぶそうで…。
    自分の名前や痕跡を残そうなんて所詮は邪念、
    時とともに風化し消え去っていくのが人として潔い気がします。
    森の件にしてもそうですが、
    無限の時を前にしては人間は小さく、そしてそれはそれでいいのだと…。

    >脳みそ大好き さん

    初めまして(ですよね?)。
    ぼくが貝澤正さん、萱野茂さんに初めてお会いしたのは22年前です。
    北海道ローカルの30分番組で撮影を始めて、
    冬の山の中で森をよみがえらせる夢を語る正さんの透明な笑顔に惹かれて、
    二風谷に通い詰めることになりました。
    いまは正さんも萱野さんもこの世の人ではありません。
    映像を記録できて、そしていまこういう形で放送できたことは、
    本当によかったと思っています。

    >エイコンハウスさん

    いつも本当にありがとうございます。
    いろんなテーマをぶちこんだ闇鍋番組(?)ですので
    それぞれの素材が生煮えになってしまうことを怖れていました。
    本当に「アッという間」で見ていただけたのでしたら、幸いです。
    転勤族でもあるTVディレクターには、なかなかこういう仕事はできません。
    ぼくの場合、
    組織的にはワガママの限りを尽くして
    10年以上にわたる北海道への居残りを決め込んできました。
    今夜の番組は、
    そんなぼくだからこそできた番組だと、それだけは自負しています。
    そして、それがもしみなさんの心に届いたのであれば、
    会社にもワガママを通した言い訳が立つかな?
    …などとセコイことを考えたりもしています(笑)。

    返信削除
  6. すごくいい番組でした。貝澤さんと萱野さんは裁判に勝って、二風谷ダムは違法ばかりか、アイヌは先住民だということも通し、息子さんは荒れた山に木を植えて、元に戻す活動を続けている。片や、平取や門別の町長さんたちは、目的外になった二風谷ダムを止めるチャンスはあったのに、国(北海道?)のいうことをやすやすと聞いてしまった。ダムで町が活性化するとか、産業が生まれるとか、水はにごらないとか、国はいいかげんなことをいいすぎなのに、なぜまだ、言うことを聞き続けるのだろう。二風谷ダムができたから平取ダムも治水に必要というのは、そこも土砂で埋めましょうということなのでしょうか・・。町と国や北海道の力の差は大きくて、ダムの進め方もひどかったのでしょうが、少なくとも貝澤さんたちは、ただ一方的に翻弄されただけでない、と感じました。

    返信削除
  7. >匿名さん

    ありがとうございます。
    ぼくは「長いものには巻かれた」地元の町長さんたちには同情的ですが…。
    公共事業が本来の目的を失っても止まらない構造、
    それは地元がNOと言えない構造でもあるような気がします。
    しかし、
    それにしても貝澤さんたちが「翻弄されただけでない」のはその通りで、
    このテーマを二十年以上追うことになったのは、
    やはり彼らの人としての生き方に共感してきたからに他なりません。
    映像で記録していくことのモチベーションは、
    ぼくの場合、問題意識もないわけではありませんが、最後は「人間」です。

    返信削除
  8. シグナル伝達2010年2月8日 15:13

    それにしてもこの長きにわたる映像の記録がひとえに個人的取り組みによるもの(なんですよね?)である事が驚くべきところです。テレビ局の一個人が関心を持ち続けなければ、単なる一時的な単発ニュースとして終わってしまったであろう怖さ。
     最近コメントしてなかったので、記入者名間違えました。
    脳みそ大好き→栃木県在住志津川ダイバーのシグナル伝達でした。失礼いたしました。
     

    返信削除
  9. 視聴致しました。とても感動しました。映像からも、長くつきあってこその信頼感みたいなのが感じ取れました。仕事の組織としては無理を聞いてもらったのかもしれませんが、この時間の積み重ねがなくてはこのドキュメンタリーはなかったものと思います。90分というのは長いようですが、二風谷の苦難の歴史からするとほんのちょっとの間でしかなく、そこによくあそこまでまとめられたものと思います。
    実は正さんのお孫さんと交遊があるのですが、(知り合う前に正さんはお亡くなりになってました)よく、話題に上っていた正さんの魅力が映像からすごく伝わってきました。すごく人間的魅力のある人たちなんですよね。

    返信削除
  10. 「イヤー、感激した11」
    素晴らしい作品でした、20年の歳月を映像で綴ることで活字ではできない訴えるものがあった。
    ご苦労さんでした。

    返信削除
  11. >シグナル伝達さん

    これはまた失礼しました。
    逆説的に云えば「一個人」の力はそれなりに強いものだと思っています。
    あらゆる組織は「一個人」の集合体で、
    「一個人」が「一個人」であることにこだわれば、もっと力を発揮するでしょう。
    …それにしても、最近、まったく潜れてないなあ(涙)。

    >頓服さん

    ありがとうございます。
    今回のロケで十数年ぶりに珠美さんに会いました。
    ちょっと風邪気味のようでしたが、相変わらず溌剌としていますね。
    初めて会った時には、確か高校生でした。
    父の耕一さんそっくりなのに美人なのが不思議です(爆)。

    >匿名さん

    ありがとうございます。
    「活字ではできない」というのは、TV屋にとって最大の誉め言葉です。

    返信削除
  12. 番組拝見いたしました。大変興味深く拝見させていただきました。わたしも実家の父が持っていた原生林を伐採したりして、淋しい思いをしたことがあります。
    耕一さんのいう、300億あれば年間3億使っても100年山を維持できる。それで駄目ならほかの事を考えればいいというのは、まさに真理でしょう。
    それにしてもダム(公共工事)というものは、これほどまでに魔力のあるものかと思いました。

    あっという間の90分でした。
    本当に素晴らしい番組でした。

    そういえば、最近せたなにも新しいお医者さんが来ましたよ。(笑)

    返信削除
  13. >春うららさん

    ご無沙汰しています。そして、ありがとうございました。
    せたなに新しいお医者さん…北桧山ですか?
    吉岡先生はお元気ですか?
    夕張ががたがたなので、心を痛めていらっしゃるのではないかと思います。

    返信削除
  14. 番組、拝見しました。感想をちょこっと書いたmixiの日記を見つけていただき、ありがとうございました。

    私の恩師はシャーマニズムの研究家でもあり(本業ではない)二風谷でフィールドワークをしていたそうです。それでダム工事の成り行きを少し聞きました。

    私自身は札幌育ちですが故郷を離れて三十余年、沙流川のことも気にかけているつもりでいながら、見逃していたことが山ほどあったことを悟りました。心の健康に関わる仕事をしている者ですが、人の精神性と自然風土(環境)の問題は切り離せない、人は風土の中に存在するのだと思っています。貴いお仕事に敬意を表します。

    返信削除
  15. >かげっちさん
    >人は風土の中に存在する

    その通りだと思います。
    ぼくは北海道で前後17年を暮らし、
    まさに「アイヌモシリ」の風土に育てられて
    オトナとして、職業人としての自己形成をしたのだと思っています。
    東京暮らしがもう10年になりますが、
    いまだに東京の風土のなかでは心から安らぐことができないようです。
    いま羽田空港で、これから釧路に飛びます。
    北海道での休暇がぼくの心身をリフレッシュさせてくれる気がします。

    返信削除
  16. 荒井恵美子2010年2月10日 21:53

    はじめまして。mixiの日記から来ました。TV放送衝撃的でした。
    それこそ、二十年以上昔北海党旅行をした時、もう貝澤さん、菅野さんは運動をしていたしたのですね。二風谷ダム建設のポスターを見た覚えがあります。「きれいな北海道」と通り過ぎてしまった、それ以来、「二風谷」の字は、どこか記憶の底に残っていたようです。チャンネルをあわせて本当によかったと思いました。胸がとても痛くなった番組でした。

    アイヌ民族問題と、ダム建設問題。ふたつの要素それぞれの今後を追って、未来を考えさせる番組の作成を願うところです。

    返信削除
  17. NKHオンデマンドで番組を見ました。
    大変感銘深く拝見いたしました。
    風化する墓標と劣化するダムは色々と連想しました。
    医療や介護のあり方も地域住民の暮らしに不可逆的な影響を与えます。デイサービスで元気な高齢者と要介護高齢者に分離されて地域の高齢者の支え合うネットワークが壊れました。藤沢では小さい地域単位の住民グループ交流会「喫茶」でそれをとりもどす試みを始めています。
    ダム問題に取り組んで、傷つき、格闘し、その後に民族の誇りを取り戻す長い語りに敬服しました。

    返信削除
  18. >佐藤先生

    番組をご覧いただき、ありがとうございました。
    たぶん経済成長の夢を追った歳月、
    それに続く新自由主義の台頭が様々のものを分断していったのでしょうね。
    いまは切れた絆をもう一度結ぶ取り組みが
    各地で、そして異なる分野で、同時多発的に起きているのだと思います。
    政権交代に伴う「見直し」や「仕分け」が
    本当の意味での「見直し」につながれば…と少しだけ期待しています。

    返信削除
  19. 荒井恵美子さん

    お返事が遅れまして失礼しました。
    そして、感想を書いていただいてありがとうございました。
    20年前、ぼくは北海道で働いていました。
    ちょうどリゾートブームのまっただ中で、
    北海道中が同じような開発計画に町の未来を託していました。
    20年たってみると無惨な死屍累々です。
    いま思えば、
    北海道が急速に壊れつつあった時期だったのでしょうね。

    返信削除
  20. やましゅう2010年2月13日 16:19

    先週番組を録画しておき、今朝拝見しました。

    ダム決壊の部分が印象に残りました。
    人のためという名目でダムを作ったはずが
    人に被害をもたらし、しかも決壊の原因の一つが
    森林伐採が原因の流木。
    すごく皮肉な災害があったんですね。
    これは、天災じゃなく人災。
    目先の利益にとらわれる事が
    一瞬の判断がどれだけ怖いか
    非常に良い教訓になりました。

    最近の履歴書には、特技欄などあるのですが
    二風谷ダムの履歴書には、特技が書けないですね。

    返信削除
  21. >やましゅうさん

    わざわざ録画してまで見ていただき、どうもありがとうございました。
    人間が不用意に自然に手をつけた結果、
    自然から思わぬしっぺ返しを受けることは珍しくありません。
    二風谷ダムの物語は、
    人間が謙虚であるべきことを教えてくれているような気がします。

    返信削除
  22. 浦河に二度行って「べてるの家」の始まりの話など聞いた時、ああ自分は征服民の側の子孫なんだよな~、と気がつきました。祖父は薩摩出身で富良野の教員をしていたはず、明治政府の命により派遣された側の人間と言えそうです。いまの自分の生き方とどう結びつければよいのか戸惑いはありますが、自覚しておく必要は少なくともあるだろう、と思いました。

    返信削除
  23. >かげっちさん

    北海道民が「原罪」意識を持つ必要はないと思うのですが、
    おっしゃる通り、
    「自覚」(というか認識)だけはしておいた方がいいのでしょうね。
    自分たちの社会はいまだ解決していない様々な問題を抱えていると…。

    返信削除