メディア・アンビシャス

札幌は雪だ。そして、寒い。
雪はもう20cmほど積もっていて、いまもなお降り続いている。
ぼくは、きのうMA(音作り)を終えて、今日は休暇を取って札幌に来た。

札幌に「メディア・アンビシャス」という市民グループがある。
マス・メディアの在り方を外野から批判するのではなく、
市民がより積極的にメディアに関与して、
ホメるべきはホメ、批判すべきは批判して、メディア側の意識改革をうながそうというもの(らしい)。
北大の山口二郎さん(以前、一度番組に出ていただいたことがある)や中島岳志さん(面識がない)、
それに映画仲間の中島洋さん(シアターキノ)らが世話人を務めている。
この「メディア・アンビシャス」のメンバーが選ぶ今年のTV部門準大賞に
ぼくの「夕張 年老いた町で」(3月放送の総合テレビ版)が選ばれたのである。
中島(洋)さんがこの番組を見て高く評価してくれて、
最後に流れるスタッフロールからぼくが作ったものと知り、
何年ぶりで連絡をくれたことから、ぼくはこのユニークなグループの存在を知った。
市民グループが選ぶ賞だから賞金は出ないし、どころか交通費・宿泊費も出ないのだが、
ぼくは嬉しくて、番組の完成=字幕入れを(放送当日に)遅らせてまで雪の札幌に飛んできたわけである。

ちなみにTV部門の大賞は「ETV特集」の「死刑囚・永山則夫」で、
これは堀川さんというフリーのディレクターが作った番組だが、
ぼくもオンエアで見て非常に刺激を受け、触発されて、高く評価しているものだ。
「夕張…」も「ETV特集」で撮りためてきたものの集大成だから、
「ETV特集」というマイナーな番組が市民有志に認められたことがことさら嬉しかったのである。

なにせ「特集」と銘打ってはいるものの、
視聴率は1%いくかいかないかというくらいで、制作予算も少ない番組である。
日頃、日陰者の悲哀(?)を噛みしめているのだ。
これは「ETV特集」の班員で話し合って意思統一したというわけではないのだが、
ぼくらは「視聴率の数字からは現れてこない(意識的な)視聴者」との連携を必死で模索してきた。
そういう人たちが認めてくれ支持してくれたからこそ、ようやく生き残ってきた番組だし、
ぼくもテレビを一方通行のメディアから、
どうにか「お客さん」と「互いに顔の見える」メディアに変えていけないかと自分なりに考え続けてきた。
(いうまでもなく、例えばブログをつけたりするのも、その小さな出発点のひとつだ。)
だから、「メディア・アンビシャス」のメンバーとは、
逆の方向からほぼ同じようなことを考えていたことになるわけで、賞をもらったこと以上にそれが嬉しい。
さあ、これから表彰式だ。
雪のなかを会場の「シアターキノ」まで歩いていく。
今夜の会が新しい“出会い”のきっかけにでもなれば、札幌まで出かけてきた甲斐があるというものである。


コメント

  1. エイコンハウス2009年12月22日 1:41

    まずは受賞おめでとうございます!

    巷ではM1グランプリが騒がれていますが、このような地道な番組をきちんと評価するという、これまでありそうでなかった!?メディア・アンビシャスの活動は本当に素晴らしいですね。

    良質の番組は繰り返し観ても新しい発見がありますし、何より「他の人にも見て欲しい」という気持ちが自然に湧き上がります。

    映像のネット配信が進化し、従来のような一過性の視聴率ではなく、You Tubeのような積算評価(再生回数)によって上位表示され、いろんな人の目に留まりやすくなれば、底力のある番組なら、いつまでもぐんぐんと“視聴率”を伸ばしていけるかもしれません。NHKオンデマンドという花舞台においてToriさんのチームが第二の「スーザン・ボイル」現象を起こす日を期待していますよ!

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  2. >エイコンハウスさん

    ありがとうございます。
    「スーザン・ボイル」はとうてい無理だろうけど…(笑)。

    メディア・アンビシャスは、
    市民が「いいものは勝手に誉める」という姿勢、
    「メディアの勝手連」みたいなところが素敵ですね。
    正直云って、芸術作品賞をもらったときより素直に嬉しく思いました。

    いま、表彰状の入った円い筒を持って千歳空港に着いたところです。
    「こんなの持って歩くのは高校の卒業式以来かなあ」なんて思いながら、
    ちょっと気恥ずかしいけれど、なんだか晴れやかな気分です。

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