“人間バキューム”



きょうから平取ロケ。
千歳空港で
チャーターしたタクシーに迎えてもらって、
平取まで1時間ちょっと。
ちょうど昼食の時間なので、
地元の老舗「藤そば」に入る。

この店の蕎麦は
手打ちの田舎蕎麦系で、
そば粉は十勝の音更産を使っている。
20年前にこのあたりでロケをした時には、
ほぼ毎日のように、
この店でざるそばを食べていたものだ。

この店は藤原さん一家が経営していることから「藤そば」で、平取の本店を継いだのは弟さんである。
お兄さんは札幌の中心部に、やはり「藤そば」という名前で店を出していた。
札幌の店では夜は刺身や昆布〆などの肴を揃えていて、
日本酒で一杯やってから蕎麦で仕上げ、というのがぼくの倣いだった。
札幌は主の藤原さんが老いて蕎麦を打てなくなったというので店を閉めてしまったが、
平取の方は健在である(弟さんの息子が当主として頑張っているようだ)。
値段はちょっと高くなってしまったが(一枚700円)、
腰と香りのある蕎麦は相変わらずおいしく、ぼくは調子に乗って三枚食べてしまった。
10年あまり前、
今回の番組の主人公でもある二風谷の貝澤耕一さんらと一緒に旅をしていて、
新得の蕎麦屋で食事をとった時に、
同行者(カナダから来たインディアンなど)がみんな黙ってぼくの方を注視しているのに気がついた。
耕一さんが「あいつは『人間バキューム』で面白いから見ておいで」と話していたのである。
国際的な奇人変人(?)のように言われても困るのだが、
そう言われてもしょうがないほどぼくは蕎麦が好きで、なおかつ食べるのが早い。
三枚くらいの蕎麦はあっというまにたいらげてしまう。
…すっかり満足をした蕎麦腹を抱えて、来春に植林するための苗の手入れに忙しい耕一さん宅を訪れた。

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