北海道胆振東部地震とそれに伴う大停電から10日経った。
この時点までに知り得た情報を整理し、
将来に向けての〝教訓〟とあわせ、
前回のブログでも触れた
ポータブル蓄電池のテスト結果についても書いてみたい。
まず、今回の「大停電が教えてくれたこと」。
次の三つが挙げられると思う。
1)発電施設の小規模分散立地を目指すべきこと
これはダイヤモンドオンラインに掲載された
慶応大学大学院教授・岸博幸氏の論考に詳しい。
簡単に言えば、
北海道における発電量の苫東厚真発電所への一極集中が
大停電の原因になったということである。
今回のような「ブラックアウト」は、
送電線に樹木が触れただけで起きた実例があるという。
地震で送電線の鉄塔が倒れるようなことでもあれば、
例え発電所は無事でもブラックアウトは起こり得る。
岸氏の言葉を借りれば
「日本のように地震が多い国では、
それ(発電量の一極集中…筆者注)自体が
電力の安定供給という観点からは大きなリスク」である。
自然災害の多い日本でリスクの分散を図るためには、
今後は小規模発電所の分散立地を進めるべきで、
これは北海道に限った話ではない。
2)原発の再稼働はすべきでないこと
泊原子力発電所は福島原発事故後は稼働を停止中で、
原子力推進論者からは
早急に再稼働すべきだとの声が上がっている。
しかし、原発は典型的な大規模集中型の発電方式である。
泊原発の1号機、2号機は比較的小規模だが、
それでも3号機を合わせると発電量は200万kwを超える。
これは今回問題になった苫東厚真の165万kwを上回る。
従って泊原発の再稼働は
小規模分散配置によるリスク軽減とは逆行する話である。
さらに原発の再稼働は新たなリスクを生む。
北海道新聞の次の記事を読んでいただきたい。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180913-00010003-doshin-hok
各地の病院が停電した時刻から
全道規模の停電の広がりを追った渋いスクープである。
この記事で明らかになったのは、
札幌や旭川への送電が停止し、
北電がブラックアウトを宣言した午前3時25分以降も、
泊原発のある岩内地区への送電は続いていたことである。
言い換えれば、北電にとって、
泊への送電確保が緊急時の最優先課題だったことになる。
泊原発は現在稼働していないが、
そこにはプールで冷却中の使用済み核燃料がある。
送電が途絶えれば冷却不能となり、
福島並みの過酷事故に至った可能性が強い。
今回は送電停止後、ディーゼルの非常用電源で冷却を継続、
幸いことなきを得たが、
例えば厳冬期に大雪とぶつかるなどして
非常用燃料の補給に支障をきたしたらどうなったか?
冷や汗のにじむ思いは、
むしろ北電の関係者にこそ強かったのではないだろうか。
泊原発は現在、
敷地内の断層が活断層ではないことを証明できず、
再稼働の目処が全く立たない状態にある。
無理に運転を再開したとしても、
直下型地震による原発本体の破損のみならず、
日本海地震に伴う津波被害、
あるいは送電線の鉄塔倒壊による外部電源の喪失など、
リスクはかえって増すばかりである。
3)個人としても可能な限りの備えをすべきこと
後で判ったことだが、
釧路市でも中心部の飲み屋街の一部は、
地震当日(6日)の夜には通電が回復している。
北電としては別に飲み屋街を優先する意図はなく(笑)、
送電ルート上、釧路市立病院の上流にあたるため、
病院への通電を急いだ結果として、
飲み屋街も早くに復旧したのだろうと推測する。
非常時に医療機関等を優先するのは当然のことで、
逆に言えば、住宅街は復旧がある程度遅れる可能性が強い。
我々住宅地に住む住民はまずは自助努力で
最初の数日を乗り切る準備をしておいた方がいいと思う。
その際のキーワードは、
やはり「リスクの分散」ということになるのではないか。
前回のブログでも書いたように
ぼくは災害時の対処を常に意識し準備してきたので、
電気、ガス、水道のライフラインが途絶しても、
厳冬期であっても3〜4日なら大丈夫だと思う。
より被害が深刻な災害の場合を想定して、
これをなんとか
「厳冬期で一週間」に延ばすことを目標にしている。
ちなみに(ちょっと脱線するが)、
ぼくは若い頃から
撮影や中継で厳冬期に長時間を屋外で過ごすことが多かった。
その経験から言えば、
–10℃くらいまでの寒さはそれほど怖れるに足らない。
–20℃ともなると「寒さ」が「痛み」に変わって辛いが、
そこまで冷え込むのはほとんどが夜明け前で、
仕事や趣味(タンチョウのねぐらの撮影など)でなければ、
普通は家の中にいるはずだ。
ぼくが若い頃住んでいた下宿は建物が古く、
暖房をつけないと
朝起きると室温が–4℃ぐらいになる時がしばしばあった。
(蒲団の襟が吐く息でバリバリに凍っていたものだ。)
機密性のいい最近の家では、まずそういうことはない。
道外の人は−10℃とか−20℃とかいうと
とても生きていられないと思うかもしれないが、
案外そうでもないことは道民であれば知っているだろう。
ぼく自身について言えば、
−20℃を暖房なしで過ごすのと、
+35℃を冷房なしで過ごすのとどちらか選べと言われたら、
躊躇なく前者(−20℃)を選ぶ。
もっとも今回書くのは、
あくまでインフラが途絶した数日間の話であり、
長期間のサバイバル実験をやろうということではない。
今回、大停電を経験して感じた〝盲点〟は、
灯油を燃料としたストーブや給湯器を動かすにも
電力が必要だということだった。
(ま、いまどき当たり前といえば当たり前の話だ。)
我が家の場合は薪ストーブがメインなので
ストーブが着火しなくてもさほど困りはしないが、
道内の暖房の主流は灯油のFFストーブだろうから、
ストーブを着火できるかどうかは極めて重要なはずだ。
従来使っていた携帯用のバッテリーが
消耗が激しすぎてモノの役に立たないこともあり、
(停電後に充電が出来なくなって完全に壊れた)
suaokiというメーカーの
充電式ポータブル蓄電池を新たに購入した。
40540mAh/150Whで、amazonで13280円だった。
さっそくフル充電していろいろな用途に試してみた。
ぼくは電池で駆動するタイプの
キャンプ用のランプ(ランタン)を2つ持っており、
先日の大停電ではそれを使ったのだが、
こうしたランプは部屋全体をぼんやり明るくするものの
本を読んだりするには多少光量が物足りなかった。
LEDのスタンドだとかなり手許が明るくなり、
読書するには申し分ない。
電力の消費量も少なく、
2時間ほど本を読んでiPhoneを充電しながら寝たが、
翌朝になっても残存容量を示すインジケーターは
フル表示のままだった(本体上部にある青いライト)。
これから毎晩、LEDスタンドをつないで使って、
使用可能時間を調べるつもりだが、
こういった面ではかなり使いでがありそうだ。
もちろんiPhoneのみならずパソコンの充電にも使える。
結論的に言えば、
ぼくのような限定した使い方であればこの機種で充分。
別売のソーラーパネルを買えば、
一週間程度の停電ならさほど問題なく凌げると思う。
予算に余裕があって、
もう少し広範に家電を活用したいと思えば、
上級機の購入を検討しては如何だろうか。
説明書には、この機種は修正正弦波出力の緊急用で、
純正弦波を使う上級機であれば、
冷蔵庫や電子レンジ、壊れやすい医療機器も使用可能とある。
(冷蔵庫はポータブルの小さなもののことだろうと思うが。)
もちろん、そちらもソーラーでの蓄電が可能である。
今後ソーラー蓄電用のパネルも購入するつもりでいる。
機を見てまた報告したいと思う。
この時点までに知り得た情報を整理し、
将来に向けての〝教訓〟とあわせ、
前回のブログでも触れた
ポータブル蓄電池のテスト結果についても書いてみたい。
まず、今回の「大停電が教えてくれたこと」。
次の三つが挙げられると思う。
1)発電施設の小規模分散立地を目指すべきこと
これはダイヤモンドオンラインに掲載された
慶応大学大学院教授・岸博幸氏の論考に詳しい。
簡単に言えば、
北海道における発電量の苫東厚真発電所への一極集中が
大停電の原因になったということである。
今回のような「ブラックアウト」は、
送電線に樹木が触れただけで起きた実例があるという。
地震で送電線の鉄塔が倒れるようなことでもあれば、
例え発電所は無事でもブラックアウトは起こり得る。
岸氏の言葉を借りれば
「日本のように地震が多い国では、
それ(発電量の一極集中…筆者注)自体が
電力の安定供給という観点からは大きなリスク」である。
自然災害の多い日本でリスクの分散を図るためには、
今後は小規模発電所の分散立地を進めるべきで、
これは北海道に限った話ではない。
2)原発の再稼働はすべきでないこと
泊原子力発電所は福島原発事故後は稼働を停止中で、
原子力推進論者からは
早急に再稼働すべきだとの声が上がっている。
しかし、原発は典型的な大規模集中型の発電方式である。
泊原発の1号機、2号機は比較的小規模だが、
それでも3号機を合わせると発電量は200万kwを超える。
これは今回問題になった苫東厚真の165万kwを上回る。
従って泊原発の再稼働は
小規模分散配置によるリスク軽減とは逆行する話である。
さらに原発の再稼働は新たなリスクを生む。
北海道新聞の次の記事を読んでいただきたい。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180913-00010003-doshin-hok
各地の病院が停電した時刻から
全道規模の停電の広がりを追った渋いスクープである。
この記事で明らかになったのは、
札幌や旭川への送電が停止し、
北電がブラックアウトを宣言した午前3時25分以降も、
泊原発のある岩内地区への送電は続いていたことである。
言い換えれば、北電にとって、
泊への送電確保が緊急時の最優先課題だったことになる。
泊原発は現在稼働していないが、
そこにはプールで冷却中の使用済み核燃料がある。
送電が途絶えれば冷却不能となり、
福島並みの過酷事故に至った可能性が強い。
今回は送電停止後、ディーゼルの非常用電源で冷却を継続、
幸いことなきを得たが、
例えば厳冬期に大雪とぶつかるなどして
非常用燃料の補給に支障をきたしたらどうなったか?
冷や汗のにじむ思いは、
むしろ北電の関係者にこそ強かったのではないだろうか。
泊原発は現在、
敷地内の断層が活断層ではないことを証明できず、
再稼働の目処が全く立たない状態にある。
無理に運転を再開したとしても、
直下型地震による原発本体の破損のみならず、
日本海地震に伴う津波被害、
あるいは送電線の鉄塔倒壊による外部電源の喪失など、
リスクはかえって増すばかりである。
3)個人としても可能な限りの備えをすべきこと
後で判ったことだが、
釧路市でも中心部の飲み屋街の一部は、
地震当日(6日)の夜には通電が回復している。
北電としては別に飲み屋街を優先する意図はなく(笑)、
送電ルート上、釧路市立病院の上流にあたるため、
病院への通電を急いだ結果として、
飲み屋街も早くに復旧したのだろうと推測する。
非常時に医療機関等を優先するのは当然のことで、
逆に言えば、住宅街は復旧がある程度遅れる可能性が強い。
我々住宅地に住む住民はまずは自助努力で
最初の数日を乗り切る準備をしておいた方がいいと思う。
その際のキーワードは、
やはり「リスクの分散」ということになるのではないか。
前回のブログでも書いたように
ぼくは災害時の対処を常に意識し準備してきたので、
電気、ガス、水道のライフラインが途絶しても、
厳冬期であっても3〜4日なら大丈夫だと思う。
より被害が深刻な災害の場合を想定して、
これをなんとか
「厳冬期で一週間」に延ばすことを目標にしている。
ちなみに(ちょっと脱線するが)、
ぼくは若い頃から
撮影や中継で厳冬期に長時間を屋外で過ごすことが多かった。
その経験から言えば、
–10℃くらいまでの寒さはそれほど怖れるに足らない。
–20℃ともなると「寒さ」が「痛み」に変わって辛いが、
そこまで冷え込むのはほとんどが夜明け前で、
仕事や趣味(タンチョウのねぐらの撮影など)でなければ、
普通は家の中にいるはずだ。
ぼくが若い頃住んでいた下宿は建物が古く、
暖房をつけないと
朝起きると室温が–4℃ぐらいになる時がしばしばあった。
(蒲団の襟が吐く息でバリバリに凍っていたものだ。)
機密性のいい最近の家では、まずそういうことはない。
道外の人は−10℃とか−20℃とかいうと
とても生きていられないと思うかもしれないが、
案外そうでもないことは道民であれば知っているだろう。
ぼく自身について言えば、
−20℃を暖房なしで過ごすのと、
+35℃を冷房なしで過ごすのとどちらか選べと言われたら、
躊躇なく前者(−20℃)を選ぶ。
もっとも今回書くのは、
あくまでインフラが途絶した数日間の話であり、
長期間のサバイバル実験をやろうということではない。
今回、大停電を経験して感じた〝盲点〟は、
灯油を燃料としたストーブや給湯器を動かすにも
電力が必要だということだった。
(ま、いまどき当たり前といえば当たり前の話だ。)
我が家の場合は薪ストーブがメインなので
ストーブが着火しなくてもさほど困りはしないが、
道内の暖房の主流は灯油のFFストーブだろうから、
ストーブを着火できるかどうかは極めて重要なはずだ。
従来使っていた携帯用のバッテリーが
消耗が激しすぎてモノの役に立たないこともあり、
(停電後に充電が出来なくなって完全に壊れた)
suaokiというメーカーの
充電式ポータブル蓄電池を新たに購入した。
40540mAh/150Whで、amazonで13280円だった。
さっそくフル充電していろいろな用途に試してみた。
まず、灯油のFFストーブだが、これは難なく着火した。
着火を確認してから試しに電源と切り離してみたが、
火が消えることはなかった。
ただし、換気ファンが止まってしまうので危険である。
現実的にはストーブをつけている間は
蓄電池をつなぎっ放しにしておくほかないだろう。
ファンを回しながら何時間もつかというのが問題だが、
これはこの季節に実験する気にはならない。
(ごめんなさい。)
稼働できる時間が短い場合には
より大容量のものを買う手もあるが、
(同じメーカーで容量3倍のものが6万円前後で購入可)
ぼくと同じ40540mAhのタイプを複数台、
ソーラー蓄電用のパネルと同時に買うという選択肢もある。
(同じメーカーのソーラーパネルがamazonで13800円)
蓄電池3台とソーラーパネルを買ってもその方が安いし、
後述するように様々な用途に使えるので、
交互に太陽光充電すれば長時間の連続使用が期待できる。
ソーラー蓄電用のパネルはまだ購入していないので
性能をここで報告することはできないのだが、
amazonのレビューを見る限り評判はいいようだ。
特に釧路や北見など、
冬期間の日照時間が長い地域では使い勝手がいいだろう。
ストーブに続いて給湯器を試してみたが、これはダメ。
お湯を出したとたんに蓄電池本体の電源が落ちてしまう。
説明書によれば、
負荷が180wを超えたときは
過電圧になって電源が自動オフするとあるから、
そういうことなのだろう。
先ほど書いた上級機は純正弦波・出力300wと記されており、
そちらなら使える可能性があるかもしれない。
ぼくとしては、
やかんでお湯を沸かして
熱いタオルで体を拭えれば緊急時は充分だと思っているので、
入浴にはそこまではこだわらない。
※この稿の本来の趣旨から言えば蛇足だが、
アルコール消毒のウェットティッシュを常備しておくと
災害時には何かと役に立つと思う。
意外だったのはシャワートイレが使えないことで、
我が家はPanasonicのタンクレス・タイプだが、
「節電」と「8時間切」のボタンが点滅するだけで
電源が入らない。
(給湯器のときのように蓄電池がオフすることはない。)
電源を入れると
便座を温める機能と温水機能が一緒に働くタイプだから、
案外負荷が大きいのかもしれない。
そうした機能を個別にオフする機能のあるトイレなら、
使える可能性があるだろう。
排水用のコンセントだけつなぐと水を流すのはできるので、
重量が1.3kgと軽いこともあり、
用を足すたびトイレに運んで使えば
便器横に跪いて排水レバーを操作する手間は省ける。
それほど電力を消耗するわけでもないので、
厳冬期などにはそれなりに役立つだろうと思っている。
逆に、期待以上に使えると思ったのは、
蓄電池にLEDスタンドをつないだときである。
ぼくは電池で駆動するタイプの
キャンプ用のランプ(ランタン)を2つ持っており、
先日の大停電ではそれを使ったのだが、
こうしたランプは部屋全体をぼんやり明るくするものの
本を読んだりするには多少光量が物足りなかった。
LEDのスタンドだとかなり手許が明るくなり、
読書するには申し分ない。
電力の消費量も少なく、
2時間ほど本を読んでiPhoneを充電しながら寝たが、
翌朝になっても残存容量を示すインジケーターは
フル表示のままだった(本体上部にある青いライト)。
これから毎晩、LEDスタンドをつないで使って、
使用可能時間を調べるつもりだが、
こういった面ではかなり使いでがありそうだ。
もちろんiPhoneのみならずパソコンの充電にも使える。
結論的に言えば、
ぼくのような限定した使い方であればこの機種で充分。
別売のソーラーパネルを買えば、
一週間程度の停電ならさほど問題なく凌げると思う。
予算に余裕があって、
もう少し広範に家電を活用したいと思えば、
上級機の購入を検討しては如何だろうか。
説明書には、この機種は修正正弦波出力の緊急用で、
純正弦波を使う上級機であれば、
冷蔵庫や電子レンジ、壊れやすい医療機器も使用可能とある。
(冷蔵庫はポータブルの小さなもののことだろうと思うが。)
もちろん、そちらもソーラーでの蓄電が可能である。
今後ソーラー蓄電用のパネルも購入するつもりでいる。
機を見てまた報告したいと思う。
コメント
コメントを投稿