57歳の心象

萩石見空港から日に1本だけ飛んでいるANAで東京、
新幹線に乗り継いで仙台へと帰ってくる。
休暇に入っているので
本来は仙台に戻る必要はないのだが、
なんやかや雑用があって
どうしても一日帰らなければならないハメになった。
飛行機の窓からは富士山がくっきりと見えた。



きょうでぼくは57歳になった。
定年まで、ちょうど残り3年である。
マラソンに例えれば、
もうすぐ陸上競技場が見えてくるところに差しかかった。

気がつけば、
走っているのはぼく一人になっていた。
一緒に走っていたはずの仲間は誰も姿が見えない。
ぶっちぎりの独走をするほどのランナーではないので、
仲間たちは先に行って、
とうにゴールしてしまったのかも知れない。
沿道に歓声はなく、日の丸を打ち振る人もいない道を、
ぼくはただ黙々と走っている。
ただし、マイペースで走ってきたので余力はあるようだ。
さして疲れは感じないし、
足取りも確かだと自分では思う。
思いがけないトラブルにさえ見舞われなければ、
無事に完走できるだろう。
願わくば、
ちょっとしたラストスパートを決めてみたいものである。

しかし、職業人としてのマラソンは終わっても、
人生のマラソンはまだ続くのだ。
こちらはゴールが見えないまま、走り続けるしかない。
ペースをちょっと落として、
ジョギングするような気分で走ろうか。
57歳とは、
見え始めたゴールの、その先が気になり始める頃らしい。


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