日常回帰

我が家のポーチに一鉢の胡蝶蘭が飾ってある。
先日、妻と花を買いに行ったときに3000円と安かったので買い求めたもの。
本来は屋外に飾る花ではないのだろうが、けっこう保っている。
この花があるだけで
エントランスの雰囲気が随分明るく、ゴージャスになった。

3.11このかた東北の被災地に通い詰めで、忙しく、疲れも蓄積していた。
5月の声を聞いてようやく
ぼくの生活にごくアタリマエの「日常」が戻ってきたような気がする。
先週の日曜日は3.11以降初めて海に潜った。
伊豆の海で、春濁りで透明度は惨憺たるものだったが。
昨日の土曜日は震災以来初めて落語を聴き(DVD小三治「厩火事」ほか)、
きょうは初めて映画を観に行った。
夫婦50割引でナタリー・ポートマン熱演の「ブラック・スワン」。
もう一捻りあるのかと思いながら見ていたら、けっこうシンプルな話だった。
映画好きのぼくが2ヶ月以上一本の映画も観ていなかったのは、
忙しかったこともあるが、そういう気分になれなかったことが大きい。

被災地で連日瓦礫の山の中を歩いてきたことによる疲労は経験のないもので、
まだ完全に復調したとは言い難い。
このあいだは酒に酔って、
洗濯物をたたもうとしている妻に
「どうせ津波が来て濡れると同じだからよせ」と言ったらしい。
我が家は海からかなり離れた武蔵野の、それもマンションの4階である。
如何に酔っているとはいえ、そんなことを口走るのはフツーではない。
震災後に被災地に行っていた仲間の多くが、
後になってみると心か体のどちらかをやられている。
ぼくなど根が思い詰めないタイプだから、これでまだ軽症の方だ。
復興までは遠い道程になるから、ぼくの東北通いもまだまだ続くはず。
平々凡々たる「日常」があることに感謝しながら、
未曾有の災害に襲われて
“時代の気分”が根底から覆った日本社会の行く末を見つめ続けていきたい。

コメント

  1. 老妻がいささか惚け気味なうえ、若い倅が惚けるなんて「やれやれ」だ。頼むからしっかりしてくれよ、なんとなく暗澹たる気持ちになってしまう。まあ冗談だが少し仕事を忘れてしっかりと休養をとってくれよな。

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  2. >親父殿

    心配をかけてすまぬ。
    ま、たいしたことはないのだが、疲れの所為か最近酒に弱くなった。
    それほど飲んだはずがないのに意識を失ってしまうのである。
    こんなことではいけないと思い、
    日夜心がけて鍛えているからもうじき元に戻ることと思う。
    めぐりあわせで6月下旬まで多少落ち着いた毎日を送れそうなので、
    そこで心身を復旧させるつもりである。

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