朝のバスで岩倉温泉を出る。
日曜日なので、9時50分を逃すと次は午後になってしまう。
きょうの行き先は小安峡温泉で、近いといえば近いのだが、
公共交通の接続が悪いので一日がかりの移動になる。
大曲まで戻らず、神宮寺という駅から普通列車で湯沢に向かう。
(駅前に「福の友」という酒蔵があった。)
湯沢からはまたバスだが、
バス停の場所を訊きに行った観光案内所で、
親切な案内係のおじさんから
稲庭でうどんを食べていったらどうですかと勧められる。
ぼくはガイドブックなどまるで読まないで旅をするので、
小安峡温泉への途中に
かの有名な「稲庭」があるとは知らなかった。
これはいいことを聞いたと感謝して、
予定より一本早いバスに乗っておよそ30分、稲庭中町で下車。
バス停のすぐ目の前に
「八代目佐藤養助」といううどん屋があった。
日曜日なので、9時50分を逃すと次は午後になってしまう。
きょうの行き先は小安峡温泉で、近いといえば近いのだが、
公共交通の接続が悪いので一日がかりの移動になる。
大曲まで戻らず、神宮寺という駅から普通列車で湯沢に向かう。
(駅前に「福の友」という酒蔵があった。)
湯沢からはまたバスだが、
バス停の場所を訊きに行った観光案内所で、
親切な案内係のおじさんから
稲庭でうどんを食べていったらどうですかと勧められる。
ぼくはガイドブックなどまるで読まないで旅をするので、
小安峡温泉への途中に
かの有名な「稲庭」があるとは知らなかった。
これはいいことを聞いたと感謝して、
予定より一本早いバスに乗っておよそ30分、稲庭中町で下車。
バス停のすぐ目の前に
「八代目佐藤養助」といううどん屋があった。
(「八代目佐藤養助」は深い雪のなかにあった)
「万延元年創業」はともかく、
うどん作りの「一子相伝」を謳っているのが凄い。
(シンプルな醤油味のつけうどん・780円)
稲庭周辺にはうどんの製造所の看板が目立つが、
店を開いているところは案外少ないようだ。
早朝からの雪で、日曜日ということもあり、
ほとんどの家が家族総出で除雪作業の真っ盛りだった。
(旅人の気楽さがきっと目障りだろうな、と思いながら写真を撮る)
釧路の雪など、申し訳ありません、と謝るしかないほどの雪だった。
稲庭中町からまたバスに乗って30分、小安峡温泉に着く。
湯沢から稲庭中町までの乗客はぼく一人、
稲庭中町から終点・小安温泉までの乗客もぼく一人だった。
観光地としては地盤沈下が続いているようで、
大きなホテルが廃業して現在解体中。
スキー場も去年の冬で営業を取り止めた。
有名な大噴湯は道が除雪していないので近づけず、
橋の上から眺めるしかなかった。
(小安峡の大噴湯は「つげ義春の温泉」にも写真が出ていた)
ぼくの目には、崖に蒸気の噴出口が2ヶ所あるように見えた。
今夜の宿泊は多郎兵衛旅館。
斜陽の温泉街で奮闘しているらしく、建物、部屋は大変きれいだ。
最近リニューアルしたのかもしれない。
各部屋に清潔な洗面所とシャワートイレがついている。
しかも、泊めてもらったのは禁煙部屋だ。
さっそく風呂に入りに行く。
(「薬師の湯」を始め、4ヶ所の浴場がある)
大浴場「薬師の湯」。
それほど古くはないと思うが、大変格調ある立派な造りだ。
しかし、率直に言えば、
入ってすぐに、あれ?…なんだかアメリカンだな、と思った。
泉質は弱アルカリ性の単純泉。
宿のホームページには加水有りの「源泉かけ流し」とあるが、
浴室に貼ってある温泉成分表には循環濾過と書いてあった。
どちらが本当だろう?
循環濾過で湯がすっかりくたびれたという感じはしないが、
それほど活きのよさも感じない。
かけ流しと濾過を組み合わせているのかもしれない。
かけ流しだとするなら、たぶん加水のし過ぎだ。
(隣に露天風呂もあるが冬季は閉鎖されている)
大浴場のそばに「陶喜の湯」というのもある。
こちらも雰囲気のある風呂だが、湯の印象は変わらない。
夕食はおいしい。
おいしいけれど、いわゆる〝温泉料理〟だ。
鍋あり、刺身あり、茶わん蒸しあり、焼き物あり…。
天ぷらこそなかったが、鮪や海老の刺身が当然のように出た。
ひと通り揃えてみました、
という八方美人的なメニューをぼくは好まない。
(八幡ポークの朴葉焼)
きりたんぽ鍋やミニ稲庭うどんなど地元の特産物も出る。
繰り返すが、おいしくないわけではない。
でも、なんとなくつまらない。
秋田の山里を訪ねた気がしないからだ。
(昨夜に続いてきりたんぽ鍋。きりたんぽは自家製だという)
昨夜がお湯も食事もほぼ100点満点の岩倉温泉だったから、
どうしても点が辛くなる。
多郎兵衛さんの名誉のために言い添えておくと、
岩倉温泉とどちらがいいと思うか10人に訊けば、
おそらく8人までは多郎兵衛旅館を選ぶことだろう。
うちのかみさんなど間違いなくそうだ。
ぼくは〝源泉かけ流し原理主義者〟である。
さらにいうなら、〝地元の食材に徹底的にこだわりたい〟派。
在職時代には一年の半分を旅に費やし、
いまも、その土地の生活や歴史を感じとりたくて旅を続けている。
ガイドブックを読む習慣がないのはそこから来ているだろうし、
名所・旧蹟を見逃しても案外平気である。
しかし、多くの人にとって、
旅(観光)はもっと非日常的な、ハレの時間でありたいはず。
自分の旅のスタイルは、
基本的に〝ないものねだり〟なのだろうと思う。
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