釧路の夏

本来なら縁もゆかりもない釧路に家を建てて、
24年目の夏を迎えた。
仕事の第一線を退いて、この家で過ごす時間が長くなった。

釧路の夏は涼しい。
25℃を超えるのは年間数日で、
気象台開設以来30℃を超えた日は片手で数えられる程度だ。
暑さに弱いぼくにはありがたい土地柄である。
もっとも、暑いと思う日が全くないわけではない。
先日のニュースによれば、
７月の釧路としては初めて30℃を超えたという話だった。
ぼくはもうぐったりしてしまい、
木陰にロッキングチェアなど持ち出して本を読んでいた。
クーラーが欲しいと思うほどの暑さではないのだが。

その前日は雨で肌寒く、
夜はストーブをつけていたのだから凄まじい話ではある。

家を建ててから植えた樹も育ってきて、
海から緑を通して吹いてくる風は心地よい。
この家でのんびり季節の移ろいを感じているときが、
いまのぼくには何より貴重な時間である。

家をリニューアルするときに植えたヤマモミジの葉が、
最近、縁の部分がうっすらと紅みを帯びてきた。
夏はまだこれからだと思っていたのが、
早くも紅葉が始まった…ということなのだろうか？
去年は台風の直撃で一気に散ってしまったが、
今年は紅葉が存分に目を愉しませてくれることを期待したい。

庭に植えた花や鉢植えの花以外に、
この季節、庭のあちこちに、小さな小さな花が咲く。
はっきり言ってしまえば雑草で、
名前も知らない花だけれど、
愛らしく思われて摘まないままで残してある。

我が家の玄関の前はかなり急な坂道で、
舗装していないので強い雨が降ると崩れてしまい、
車が通ることもできなくなる。
運転しないぼくには直接関係はないが、
年間何度も崩れては
そのたび砂利を敷き直すのでは予算の無駄遣いに思えて、
市役所に相談に行った。
その結果、この道路は市道ではなく、私道だと判明。
家を建てて20年以上も経ってから、
我が家が公道に面していないのが判ったというのも
思えばマヌケな話ではある。