例年、10月の下旬になると宮城県の鳴子温泉に向かう。鳴子峡の黄葉・紅葉を写真に撮り、「東多賀の湯」という旅館に泊まって温泉につかり、宿の人たちが自家田で作った米・ゆきむすびを買って帰る。ゆきむすびは鳴子特産の品種で、粘り気が強く甘みがあって大変に旨い米だ。つまり、紅葉狩りと湯治、米の買い出しを兼ねた欲張った旅なのである。
今年は19日〜20日の日程で鳴子を訪れた。本当は2泊したいのだが、通院の関係で21日には釧路に帰るのでやむを得ない。偶然だが、去年も全く同じ日程で鳴子を訪ねている。(「ぼくが鳴子温泉が好きなワケ。」と題してブログに掲載した。)今年は天気予報が雨でがっかりしていたが、幸いぼくが着いたときには雨が上がっていた。
紅葉のピークにはまだ早く、そのぶん色彩のグラデュエーションが豊かである。
東多賀の湯の女将さんによれば、鳴子の秋はまず黄葉から始まって、もみじが真っ赤に染まるのは例年10月28日頃ということだ。
鳴子峡にはレストハウスの下からこけし館の裏まで、大谷川の渓谷沿いに歩く遊歩道がある。
東日本大震災で崩れて以来通行禁止になっていたが、去年から(?)レストハウスの下まで降りられるようになった。
けっこう急な坂の上り下りになるが、年配の方たちが頑張って歩いているのが目立つ。若い人はほとんどが中国語を喋っていることに気づいた。若い世代の日本人はといえば、レストハウスの前で記念撮影して終わる人が多いようだ。
鳴子温泉まで歩いて戻って、宿に荷物を置いて公衆浴場の「滝の湯」に入りに行く。入浴料150円という安さが感涙ものだ。鳴子温泉郷には泉質の違う様々な湯が湧いているが、この滝の湯は強い硫化水素臭を伴う強酸性。熱い湯が五十肩にとてもよく効く(気がする)。東多賀の湯は白濁した酸性のお湯で、これも効く。湯上がりに飲む地産発泡酒「鳴子の風 高原ラガー」が旨い。
翌20日はざんざん降りで、とても写真どころではない。購入した米2kgを含む荷物を駅のコインロッカーに預け、日帰り入浴のはしごをすることにした。まず鳴子温泉駅から陸羽東線を西に向かって最初の駅、中山平温泉駅で下りて「うなぎ湯の宿 琢琇」へ。「うなぎ湯」とはアルカリ性の温泉で入浴すると肌がぬるぬるすることからそう呼ばれている。いわゆる「美人の湯」系統の温泉である。琢琇は入浴料が800円とこのあたりでは一番高いが、ぬるぬる度が異なる二つの露天風呂がある。雨の中の入浴もかえって心地よく、一時間あまりのんびりした。
午後は鳴子温泉駅の一つ東にある鳴子御殿湯駅から歩いて、「高友旅館」の黒湯に入りに行く。黒湯は火をつければ燃えるのではないかと思われるほど重油臭い独特の泉質である(低張性中性高温泉)。入浴料は500円で、高友旅館には黒湯のほか泉質の違う風呂が二つある。(本当はもう一つあるのだが、そちらは女性専用。)黒湯はとても体が温まる湯で、ここでも一時間あまり…。
ぼくはマニアックな温泉好き、というか、ほとんど温泉中毒者みたいなものだ。最近は月に一度はどこかの温泉に泊まる。9月など伊東温泉、野中温泉、阿寒湖温泉で計4泊。このブログでラベル「旅」を選択して見ていただくと、北海道、東北を中心に温泉めぐりの話題が出てくるはずだ。でも、どこが一番好きかと訊かれたら、迷わず鳴子温泉郷(川渡温泉〜瀬見温泉)と答える。こう書いていると、またすぐにでも行きたくなってしまう。
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