我が家のリニューアル

我が家はマンション暮らしである。ぼくの単身赴任を機会にリニューアルを決断した。工事がほぼ終わったので、この週末は一ヶ月ぶりに東京に戻ってきた。工事のあいだ職場に泊まり込んでいた妻も戻って、二人で部屋の片付けに追われた。(大学生の息子はデートが忙しいので手伝わなかった。)

新しい部屋のデザインは妻の希望を聞きながら一級建築士の義弟が書いてくれた。ぼくは(図面は見たが)あまり関与していない。だから、生まれ変わった我が家は新鮮な驚きだった。いやぁ、想像していた以上にカッコイイのですね。


深夜に帰ってきた息子は、開口一番「(高級)ホテルみたい」と言った。収納スペースをリビングから見えなくしたのは正解。すっきりしていて、部屋が以前よりずっと広くなったように感じる。テレビボードの裏側がぼくの書斎で、こじんまりとした居心地のいいスペースになっている。そこに書棚などが設えてあるのだが、収納できる量が以前に比べて増えているのは驚きだった。


テレビはシャープの60インチを新たに買い求めた。マンションを購入したときに買った43インチ(プラズマ・ディスプレイ)の半額である。新しい部屋ではテレビとソファの位置が離れているので、43インチでは物足りなくなるのは明らかで、テレビの買い替えはぼくも承知の上のことだった。しかし、ダイニングテーブルまで変わっていたのには目を剥いた。


うちは三人家族、それも息子は来春には就職して家を出るというのに、六人がけのテーブルになっているのである。妻を問い質すと来客用だといってすましている。息子が結婚して孫を二人連れて帰ってきたときにちょうどいいというのである。

その他にも、よく見るといろんなものが変わっている。ウォシュレットを一新したのは気がついていたし、掛け時計などは相談に乗ったから判っていたが、見たことのない観葉植物が部屋に並べられている。玄関のスリッパ立てから靴べらの果てまで、モダンな部屋に似合うようにと変えられているのである。

ぼくの稼ぎはローンを返していくのに手いっぱいで、今回のリニューアルの費用はほぼ全額を妻が出している。我が家は共働きで妻は自営業だが、これまで稼いで蓄えてきた貯金をはたいたのではないか。

妻はB型なので、一度こうと決めたらブレーキが利かない。何を言っても無駄で、とことんまで突っ走るのである。やり過ぎだと文句でも言おうものなら、これは全部自分のお金でやっていることであなたに迷惑はかけていないと怒り出すに決まっている。そうした妻の性格を熟知しているので、ぼくはただ呆れて妻の徹底したリニューアルを見ているだけだ。

次回、東京に戻ってくるのは3週間後になるが、そのときには、亭主もモダンな部屋に似合いの新しいのに変えられているのではないか。…そう考えるとちょっと心配になる。




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