先週、番組「『復興』はしたけれど」の放送を終えて、
きのう今日と再び神戸を訪ねた。
番組は東北だけで放送されたので、
出演していただいた神戸の人たちは見ることができない。
DVDを持参するとともに、
「次の展開」を探るのが目的だった。
昨日の夜は、
新長田再開発のありように反発を強める商店主たちと
市当局とのあいだで初めての話し合い(交渉)が持たれた。
残念ながら市の意向で取材は認められなかったが、
席上、市の課長が、
再開発地区の管理を行なっている
第3セクター「新長田まちづくり会社」を批判し、
個人的見解と断りながらも
「まちづくり会社を守ろうとは思わない」と発言した。
商店主たちとの対立が膠着している現状を打開するために、
神戸市に思い切った決断が迫られているのは確かである。
事態はいよいよ煮詰まっている、とぼくは思った。
現場では取材できなかった「交渉」の内容について、
その夜、会に出席した商店主たちから話を聞いた。
大正筋からほど近い丸五市場の一角にある、
「今井やん」という居酒屋で飲みながらの話だった。
丸五市場は昼間でも開いている店の方が少ないという
凄まじく寂れたところだが、独特の雰囲気がある。
丸五市場には「アジア横丁」というのがあって、
中国人や韓国人が開いている小さな食堂などが並んでいる。
「今井やん」はそのなかにある。
夜には閉める店もあるので、
シャッターに埋もれるようにしてぽつんと店を開いている。
「新長田B級グルメ」の第2弾として、
ディープな場末感が魅力の「今井やん」を紹介してみたい。
「今井やん」は、
番組に登場した食堂の主・横川昌和さんの行きつけの店だ。
番組の後半で横川さんが飲んでいるのが「今井やん」である。
まだ神戸の取材を始めてまもない頃、
ぼくは別の商店主に教えられて「今井やん」を訪ねた。
そこに予期せず横川さんが現われたことから、
久しぶりに「へべれけ」になるまで飲むハメになった。
「今井やん」の看板には「焼酎居酒屋」と記されている。
その名の通り本格焼酎の品揃えがモノ凄く、
とてもメニューに書き切れないほどある。
壁に設えた棚いっぱいに並んだ焼酎のボトルのなかから
好きなものを選んで注文するシステム。
値段は、原則として一杯500円と明朗会計である。
ともかく、
ぼくが見たことも聞いたこともない焼酎が並んでいるのだ。
ビールが札幌の赤ラベル(ラガー)というのも嬉しい。
肴は焼鳥などちょっとしたものが用意されているが、
事前に予約すると名物の「トマト鍋」を用意してくれる。
トマトをベースに
16種類のスパイスを混ぜた「秘伝のスープ」で、
野菜、豚肉、エビ、キノコなどを煮て食べるのだが、
トマトの酸味が具の旨味を引き出して、これが実に旨い。
最後に「秘伝のスープ」でパスタを茹でて食べると、
これがまた美味しくて、やみつきになる。
かなり大食いの男3人がかりで
2人前を持て余すほどのボリュームがある。
昨夜は予約しておらず、しかも全員が腹を減らしていた。
そこで常連の女性客が焼きそばを作ってくれたのだが、
これがまた美味しかった。
さすがに、そばめしの本場、長田だけのことはある。
誰が主で誰が客なのか、
まるで判らなくなるところも下町らしくていい。
実は今夜もまた、
昨夜とほぼ同じメンバーで「今井やん」に行った。
昨日と同じお客さんが飲んでいた。
旨くて、安くて、
しかも下町らしいフレンドリーな雰囲気が横溢している。
こういう店が近所にあれば、酒飲みは幸せになれる。
地下鉄で一駅離れた長田には日本酒の名店「吟醸」があり、
ぼくは妻に神戸(新長田)への移住計画を切り出したのだが、
あっさり却下されてしまった。
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