初雪は初雪らしく…

目が覚めると雪が降っていた。
東京は初雪、ということらしい。
初雪なら初雪らしく、
楚々として降って欲しいものである。
いきなりドカ雪というのは、如何なものか。


雪は、あっというまに5cmほど積もった。
こうなると、外に出る気にならない。
雪の中を就活に出かけた息子をよそに
夫婦で寝正月の延長戦を決め込む。


夕方になって、
意を決して駅前まで買い物に出た。
ワインに合わせるチーズが欲しかったからだ。
こうなると酒飲みの決死隊である。
ところが、
マンションの通用口に向かう
緩やかなスロープのところで滑って、
ずってんどうと転倒した。
北海道で長年暮らしてきた人間が
東京の雪ごときに足を取られたのは無念、
生涯の不覚というべきである。
後で確かめると
靴の底がすり減ってツルツルになっていた。

買い物を終えて帰ってくると、鍵がない。
転んだときに
コートのポケットから飛び出したのだろう。
インターフォンでかみさんを呼び出し、
入口を中から開けてもらって、
すでに薄暗くなってきたなかで鍵を探す。
幸い転んだ場所がわかっているのと
雪が小ぶりになっていたため、
半ば雪に埋もれた
キーホルダーを発掘することができた。

明日は朝の新幹線で神戸に向かう。
雪は夜半にかけてまだ降る予報である。
予定通りにたどり着けるかどうか、
いささか不安がなくもない。


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