今年の秋はなんだか短かったな。
気がつけば、師走である。
師ならぬ身はもちろん走る、慌ただしい季節だ。
「秋が短かった」のは、夏が暑く長かったからである。
それに加えて、ひどく忙しかった。
複数の番組を並行して進めることには慣れているので、
いまさらどうということはない。
しかし、
番組の中身に関係のないところでスッタモンダするのは疲れる。
ここには書く気にもならないトラブルがあって、
消耗しているというか、集中力が研ぎ澄ませないままに、
時間だけが矢のように過ぎていった。
その一方で遠方より来たる客多くあり、
プライベートの面でも落ち着かなかったかもしれない。
妻が体調を崩して入院したこともあって、
なんとも気忙しく、足が地に着かない気分で終始した。
とにかく、そんな秋だった。
今週は火曜日から大阪ロケ。
来週もまた火曜日から大阪ロケ。
通天閣で知られる浪速区は、住民の十人に一人が生活保護を受けている“貧困の町”でもある。
街を歩いていると、
毎月一日の生活保護受給日に
区役所に生活保護をもらいにきている人たちと次々出会う。
田舎町ならぬ大都市の一角で驚くべきことなのだが、
これが「十人に一人」の現実かと今更ながらに納得してみたりする。
いろんなことがあって、忙しく立ち働いていながらも、いつになく仕事にのめり込めない自分がいる。
そんなときに、今年もすでに残り少なくなったという身もふたもない現実が自分を衝つ。
ぼくは年が明ければ55歳になる。昔なら「定年」を迎える年だ。
現役のテレビ・ディレクターとして残された時間はそう多くはない。
そう思うと居ても立ってもいられないような焦燥感に駆られ、足早に過ぎ去っていく季節が恨めしくなる。
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