清流・気仙川


朝8時半に宿を発って、
午前中は住田、陸前高田、
午後は県立遠野病院の訪問診療を撮影する。
夕方に紫波町に移動して、また撮影。
盛岡のホテルに入ったのが
22時30分という強行軍だった。


写真は、
住田町を源に陸前高田で海に注ぐ気仙川である。
昔、カヌーをやっていたので、
(いまでも止めたつもりはないが、暇がない…)
いい川を見ると血が騒ぐ。
今回の取材では、
繰り返し気仙川沿いを走ったが、
実に美しい表情を持った川で、心を奪われた。

釣り人たちにはよく知られた川らしく、胴長を履いて山女魚を釣っている人の姿をよく見かけた。
夏には鮎釣りで賑わうらしい。

気仙川の源流にちかい
住田町上有住(かみありす)地区に
板を渡して架けた橋がある。
「松日橋」といって、
元禄11年の昔からここに架かっているという。
もちろん台風などで
洪水があれば流されるのだが、
そのたびに地元の人たちが橋を架け替えて
使ってきた。

昔はこうした素朴な木の橋が
気仙川のあちこちにあったものだという。
それが次第に永久橋に架け替えられていった。
この地区の人たちも
永久橋が欲しくて陳情を繰り返してきたが、
なかなか首を縦に振ってもらえないでいるうちに
とうとう最後の一本になってしまったそうだ。
もうここしか残っていないのなら、と
地元で管理をしながら
昔の姿のままで守っていくことにしたと
通りすがりの近所のおじさんが教えてくれた。

橋の下を流れる気仙川の流れが透明で、
それだけに、
細い橋を渡っていると
川に吸い込まれてしまいそうな気分になる。
先日降った雨のためらしいが、
板がいくぶん斜めになっているので、
不安定な気分がいや増してくる。
木の板がしなるのが、ちょっとスリリングだ。

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